体験談(約 34 分で読了)
僕と亜樹と優衣香と美雪と真琴の....終(1/5ページ目)
投稿:2019-11-30 15:53:43
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本文(1/5ページ目)
初めての投稿です。読みにくかったらすいません。長いので、時間がある時にゆっくり読んでいただければと思います。そんなに遠くない、最近の思い出です。僕は初めての恋で自分の性癖を知る事になりました。小、中、高校とずっと机に向かっていた為、友達もかなり少なかったのです。そ…
旅行から帰って来て数日...結局転勤の噂は噂のまま、取り越し苦労だったようだ。しかし、また新しい噂がそこにはあった。どうやら、美雪と山下がかなり親密だという噂だ。山下にとっては、あの夢の二日間は夢で終わらなかったということらしい。まだまだ暑い夏は続く。真琴曰く「私の性癖から見るとベストカップルなんで…
《亜樹と優衣香。同い年の先輩と後輩》
楽しい週末を過ごした後の、ちょっと憂鬱な月曜日。
その一週間は、今までには無い珍しい時期の中での忙しさになった。例年通りに行けば、本来暇な部類に入る時期。
朝から皆、曇り顔でバタバタと仕事に精を出している。
部屋に射し込む光も、どこかピリピリとした雰囲気を煽るように窓際を照らしていた。
しかしそんな中、空に漂う雲のようにマイペースな二人がいた。
真琴。彼女は一日中優衣香をどう辱しめるか模索していた。最近はお気に入りのオモチャに手錠を追加したらしい。今後はローソクも視野に入れてるとのことだ。
美雪。彼女は先日亜樹に教えてもらったホームベーカリーにハマっている。そして今も僕の隣で有意義に専門誌を広げてお茶をすすっている。強者の余裕なのだろうか?...僕の仕事も手伝ってもらいたいな。
それにしても二人共大丈夫なのかな...
ところがいざ定時になってみると、美雪のデスクはいつも通り綺麗に片付いていて、その隣の真琴も、多少助けてもらっていたが、どうやら終わったようだ。
僕は気づいた。
あれ?もしかして僕だけじゃない?
...深いため息をついて席を立った。
道流「...もしもし」
亜樹「お疲れ様。もう帰って来るでしょ?お腹減ったよー」
道流「...ごめん。残業になっちゃった」
亜樹「え?珍しいね。この時期なんて」
道流「そうなんだよ。でね、さっき美雪と真琴に頼んだんだ。亜樹と一緒に晩御飯どうかなって。だから一緒に食べて来なよ」
亜樹「それはいいけど...わかった。頑張ってね」
道流「うん。ありがと」
よし!と気合いを入れ直しまたデスクに戻った。
しばらく作業をしていると、回りの同僚達も次第に仕事を終え帰って行く。毎度ながら、僕が一番最後まで残ることになる。
まだ入社して間もない頃は、こんな状況が楽しくもあって、亜樹と一緒にワイワイ話しながら夜遅くまで残ってた。
でも五年目となった今は、自分の不甲斐なさに嫌気がさす。もちろん、人それぞれ仕事の量は違うし、能力も違う。でも、いつまでもこんなの嫌だなってつくづく思う。
後輩の後ろ姿を見送っているのも尚更。僕も負けていられない。
時計の針は夜の8時を回った。
部署には僕一人。そこへ優衣香がやって来た。
道流「あー優衣香。優衣香も仕事に追われてるの?」
優衣香「はい。ちょっと大変ですね。迷惑じゃなかったら少し休憩しませんか?」
苦笑いしながら言った。
二人で移動して、テラスのベンチに並んで缶コーヒーを開けた。
まだまだ、夜風も夏の温度で吹き付ける。
視界に入る光景を見て思った。会社だけではない。目の前のビルの所々で明かりが点いていて、あっちこっちで世話しなく人影が動いている。
もしかしたらあのビルでも、僕達と同じように、こうやってコーヒーを飲んでいる、ある意味、同僚がいるかもしれない。
道流「また僕と優衣香になったね」
優衣香「そうですね。もうちょっと出来るようになりたいんですけどなかなか」
道流「優衣香は昔っから仕事ではおっちょこちょいだよね」
優衣香「道流さんに言われたくないです」
恥ずかしいのか視線を逸らした。
道流「そう思うと亜樹はやっぱり凄かったんだなあ。いるときも凄いと思ったけど、いなくなった今でも凄いよ」
優衣香「...そうですね」
少しうつむきながら答えた。
道流「ん?どうしたの?」
優衣香「道流さんは知ってますか?私が入社したときのこと?」
道流「ううん。ごめん。そのときはただ綺麗な子がいるって程度だったよ。優衣香のことを知ったのは次の年」
優衣香「実は私、入社したとき虐められてたんです」
道流「え?」
優衣香「そのとき助けてくれたのが亜樹だったんです。それからはずっと私のことを気にかけてくれて、本当に嬉しかったです」
道流「そうだったんだ。だからあんなに仲がいいんだね」
優衣香「大好きです」
その言葉に偽りがないことは、笑顔が何よりの証拠だった。
道流「そういえば旅行のときも言ってたしね」
優衣香「今度三人で久しぶりに飲みに行きませんか?」
道流「確かに三人て最近なかったね。じゃあ行こうか。亜樹も喜ぶよ」
―――
さらに一時間が過ぎた。
仕事はまだ終わりそうにない。
ふと、通路からコツコツと足音が聞こえて来た。
亜樹「あーなーたー」
赤く火照った顔をひょこっと出して言った。
道流「亜樹!?どうしたの?」
亜樹「どう?進捗は?」
道流「まだかかりそうだよ。酔ってるの?」
亜樹「ちょっとね〜」
なかなかに酔っている。
道流「ちゃんと受付してから入った?」
亜樹「もちのローン。いつもの人だったから顔でパスで満貫でーす!あははっ」
いや、物凄く酔ってるな...
道流「まったく...ほら、おいで」
隣の美雪の椅子に座り、僕の仕事をジーっと眺めた。
亜樹「...もう少しだね」
道流「えっ?いやまだかかるでしょ」
亜樹「楽勝楽勝〜」
少し呆れていたけど、そんな亜樹の顔を見たら昔を思い出して嬉しくなってきた。
道流「そうそう、優衣香もまだいるよ」
亜樹「ホントに?行ってきまーす!」
そう言うとすぐ隣の部署に向かった。僕達のフロアの電気は消えていたから人はほとんどいないようだ。
そのためか亜樹の声はよく通った。
亜樹「ゆーいーかー!ぼんじゅーる!」
優衣香「どうしたの亜樹!?」
亜樹「大好きな優衣香にっ...会いに来たよー!」
優衣香「えっ...」
困惑しているようだ。亜樹があんなに酔うなんて結婚してからは初めてだった。というより、お酒を飲む機会が減ったから体質が弱くなったのか。 早く終わらせないと、あの調子だといずれ迷惑をかけそうだ(泣)
僕は急いで仕事を終わらせた。
そして、隣の優衣香の部署に行くと、亜樹が優衣香の仕事を手伝っていた。
亜樹「これでおっけー」
優衣香「すごーい。もう終わったの」
亜樹「楽勝楽勝〜」
道流「ホント?」
亜樹「おっ道流。ぼんじゅーる」
道流「はいはい。それ、酔ってるんだからちゃんと確認した?」
亜樹「私に不可能はなーい!」
道流「どれどれ」
僕は亜樹が作業したことにあらためて目を通した...
―――
道流「...悔しいくらい完璧だ」
亜樹「だしょ?」
優衣香「だしょって...」
道流「ハンデがあってもできるんだね」
亜樹「身体が覚えてるんだろうね。少し酔いも醒めてきたし」
道流「美雪と真琴は?」
亜樹「真琴ちゃんはご飯食べたあとに帰ったよ。美雪ちゃんには一杯付き合ってもらったけどね」
優衣香「一杯?」
亜樹「おっと間違えた。一升でーす」
そりゃ酔うわけだ。ていうかそんなに飲んだのか。
道流「丸々一本飲んだの?」
亜樹「さすがに全部じゃないよ。飲めなくなったから残りは店長にあげました。ほらっもっと褒めて」
道流「いやまだ何も言ってないから」
優衣香「さすが亜樹!優しい」
亜樹「だしょ?どんどん褒めて!」
優衣香「本当にありがとう亜樹」
亜樹「大丈夫大丈夫〜出世払い出世払い〜あはは」
すこぶる上機嫌なのか、終始ニコニコと笑っていた。
道流「さて、帰ろうか」
優衣香「そうですね」
亜樹「優衣香。家に泊まって行きなよ」
優衣香「ごめんね亜樹。明日も仕事なんだ」
亜樹「えーなんでよ?...じゃあ...私が明日を土曜日としました。だから明日は休みでーす。皆休みましょう!」
道流「あははっそれは無理だよ」
優衣香「そうだね。土曜日は無理だけど、有給にしちゃおうか?」
道流「え?」
亜樹「休み休みー!」
優衣香「うん。ちょっと待ってね申請してくるから」
道流「えぇっ?」
そう言うと優衣香は用紙に記入を始めた。
道流「亜樹!ダメだよ」
亜樹「ん?なんで?」
道流「なんでって...それはダメでしょ。昨日の今日なんて」
亜樹「いいんだよ。ここの部署の連中なんてしょっちゅうなんだから。さんざんそれで私なんて迷惑かけられたし。それに優衣香は真面目過ぎる!できる人はちゃんとメリハリがつけられるの」
道流「それは知ってるしそうかもしれないけど。でも優衣香にそんなこと...」
優衣香は僕の話しに割り込んだ。
優衣香「道流さんいいんです。亜樹の言う通りかもしれません。たまにはやんちゃしたって大丈夫ですよ」
亜樹「さすが優衣香。問題児〜!」
優衣香「あははっ...そうかもね」
亜樹「今日はベッドで一緒に寝よ。道流は床でおっけー」
道流「いやいや。それは勘弁してよ」
フラフラと歩く亜樹を支えながら、三人で家に向かった。途中コンビニで色々な食べ物を買ったから、二人の夜はまだまだ終わらないようだ。
家に入ると、僕はすぐにお風呂を沸かした。
亜樹はさっそくテーブルに先ほど買って来たチューハイやおつまみを置いて、優衣香を座らせた。
そして、二人でチューハイを開けて。
亜樹「かんぱーい。お疲れ様です」
優衣香「乾杯。今日はありがとう亜樹」
亜樹「いいのいいの。愛する優衣香のためなんだから」
僕はキッチンで夜食を作りながら二人の会話を聞いていた。
優衣香「...本当に昔から変わらないね。私全然出来るようにならないし。いつも助けてもらってばっかり」
亜樹「何言ってんのよ。優衣香は勘違いしてる。仕事なんて年々変わるんだよ?一年目の仕事をしてるわけじゃないし。今の優衣香は四年目の仕事なんだから難しいに決まってるじゃん」
優衣香「でも、毎年のように残業して...それでその度に迷惑かけて。なんか嫌になっちゃうときがあるから」
気のせいか、少し優衣香の声が震えていた。
亜樹「はぁ...優衣香、自信もってやりなよ。周りのことを気にし過ぎ」
優衣香「...うん」
亜樹は口を開き何かを言いかけて閉じて、そしてまた開いた。
亜樹「...私ね優衣香が入社してきたとき、見てられなかったんだ。一つ一つが遅いし、覚えが悪いし、毎日失敗して怒られて、まるで道流を見てるみたいだったよ」
そうなんだ。意外だな。
優衣香「ごめん」
亜樹「そうそれ!すぐ謝るし。もうちょっと見返してやろうって気持ちを持ってほしいな」
優衣香「でも...」
亜樹「でもじゃないの。優衣香には亜樹イズムを継承したんだから頑張ってもらわないと」
亜樹イズム?そんなのあったんだ。
優衣香「うん」
亜樹「優衣香!おいで」
優衣香「え?」
優衣香が隣に座ると、亜樹は頭を撫でた。
亜樹「ヨシヨシ。優衣香は出来る!カッコ悪くても、迷惑かけてもいい。最初は皆出来ないんだから。それに向き不向きもある」
優衣香「うん」
頭を傾けてる優衣香の表情はどこかほっとしている。
亜樹「少しずつでもいいから成長していけばいいよ。それに美雪ちゃんが言ってたよ?優衣香さんは仕事は出来るしカッコいいし、尊敬してますって。ちゃんと見てくれてる人もいるんだから。それに後輩にそう言われたら、優衣香もくよくよしてないで頼れる背中を見せなきゃねっ!」
いつの間にか亜樹が優衣香を抱きしめていた。
亜樹「......泣かない泣かない。私は胸を張って言えるよ。優衣香は出来る子ですって」
亜樹の腕で顔は見えなかったけど、優衣香の肩が小刻みに震えていた。
僕は一つ、大きく息を吐いてお風呂場に行った。
―――
さっぱりしてお風呂から出てくると、亜樹がウトウトしていた。
道流「亜樹。もう寝たら?」
亜樹「まだまだ...大丈夫。せっかく優衣香がいるんだから」
優衣香「亜樹、私のことは気にしなくていいよ?それに明日も一緒にいるから」
亜樹「そっかやったね。明日はどこに行く?」
優衣香「どこでもいいよ。亜樹と一緒なら」
亜樹「嬉しいなあ。そんなこと言われたら私、惚れちゃうよ?」
優衣香「道流さんごめんなさい。これからは亜樹と一緒になりますね」
亜樹「ばいばーい」
寝惚け眼で僕に手を振った。
道流「はいはい。ほら、ベッドに行くよ」
僕は亜樹を抱き上げてベッドに寝かせた。すると。
亜樹「...」
道流「え?もう寝たの?」
亜樹「...」
すでに寝息を立てていた。
道流「はやっ!」
優衣香「道流さんがいないときからもう眠そうでしたからね」
道流「ごめんね優衣香。せっかく来てくれたのに」
優衣香「いえいえ。むしろ謝りたいのは私の方ですよ。道流さんは明日も仕事なのに上がり込んでしまって」
道流「いいよ。久しぶりに亜樹も楽しそうだったし。僕も優衣香がいてくれて良かったよ。ありがとう」
翌日、僕は仕事へ。そして二人はつかの間の休みを過ごした。
それからの優衣香は、亜樹のおかげか、顔付きが普段とは違って、どこか自信に満ちている気がする。
二人は同い年だけれど、先輩と後輩。仕事で言えば、エリートと凡人。だからこそエリートの亜樹に押してもらった背中はとても頼りになるくらい大きな後ろ姿になってる。亜樹の一言一言がまた優衣香を一つ成長させるきっかけになったのかもしれない。
―――
―――
―――
《真琴の悪戯心》
仕事は数日経ってもなかなか定時で帰れない日々が続いていたが、ある日変化があった。
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(2020年05月28日)
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