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【評価が高め】世間でいうクリスマスイブに綺麗な娘を買った(9/13ページ目)
投稿:2011-12-01 21:00:00
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痛いほどだ。
ホテルに戻ったのが午前1時。
体に力が入りにくく、おかしいなと思いつつフロントのソファに押しを下ろし、コーヒーを注文して部屋に届けてもらうよう頼んでエレベータに乗りこんだのが1時30分。
体が高熱を発して、とうとう倒れるようにベッドへ崩れ落ちたのがきっかり午前2時だった。
慌てたのが彼女だった。
どう見たって尋常じゃない僕の赤くなった顔に驚き、額に手を当てて騒ぎ始め、どこかへ消えたと思ったら解熱剤と風邪薬を持って戻ってきた。
ホテルの常備薬かな、とぼんやり考えながら飲む振りだけしてゴミ箱に捨てた。
いったん発症した風邪を押さえこむ特効薬なんてない。
飲むだけ無駄だ。
それに僕は薬が大嫌いなんだ。
彼女は僕を厄介事に巻き込んだと、かなり後悔しているようだった。
こんな冷えこんだ夜に横須賀の闇の中へ僕を連れ出したと、本気で思い込んでいた。
それは僕が言いだした事なんだ。
君じゃなくて、僕が連れ出したんだ。
僕が君を泣かせてしまった。
もしかすると姫様に会った最初の晩に、僕は風邪ウイルスに感染していたのかもしれない。
電車のつり革かもしれないし、会社の同僚のくしゃみを知らずに吸いこんだのかもしれない。
ひっそりと潜伏して、たまたま今夜発熱したんだよ。
僕はゆっくりとそう話して聞かせた。
子供を相手に話す口調で優しく言い聞かせた。
でも彼女はまったく聞き入れようとはしなかった。
あの神社の境内があまりに寒すぎたために、僕が風邪を引いた。
そう、まるで賽銭クジでも買ったみたいに、僕が風邪を引き当てたと本気で信じていた。
僕は眠った。
自分の意志とは関係なく、突然深い眠気に襲われて意識を失った。
それでも深夜に何度か目が覚め、人の気配を感じ、そしてまた眠る。
そんな事を何度も繰り返した気がする。
傍らの凄く近い位置に姫様のかすかな匂い。
あの甘ったるい香り。
女の柔らかな体温。
姫様が僕の手を握ってくれている。
このまま死んじゃってもいいや。
こんなに平穏で静かで安堵できる暗がりに包まれて逝けるなら、それでもいいや、と思った。
僕は夢を見た。
横須賀駅前の直線コース。
街頭の灯っていない暗闇の中をすさまじい勢いで滑空する。
タクで移動した道順をトレースして、僕はあの公園、神社境内に至る。
そこにあるのはあの夏の日。
僕の知らない夕方。
子供達の笑顔の群れと高揚した声と騒がしい足音。
その先に白い服の少女がいて、僕をじっと見つめていた。
いや、僕を通過して僕の背後にある何かを見つめていた。
時々蝉の声が聞こえた。
テレビから漏れてくるようにその音は鮮明で、ありえないほど近い。
僕は蝉の位置を探る。
少女が目の前にいる。
少女の手に握られたもの。
中国製の三十八口径。
首にはピンクのクマのぬいぐるみと、菊の紋章が刻印された赤いパスポートが下がっている。
少女は僕が見つめている事に気付いていないようだった。
素足で立ち、指先は泥だらけで、その指で鼻の頭を触ったために鼻の頭まで泥で汚れている。
その指先が三十八口径の遊底にも触れる。
遊低には遊びがあり、それが可動する事が分かると、指先はカチャカチャと音のする重たい金属を引っ張ろうとムキになる。
リコイルスプリングが、少女の指の動きに逆らって遊低を押し戻そうとした瞬間、三十八口径は少女の掌で踊り、乾いたパンという音を立てて地面に落下する。
一瞬の出来事。
たっぷりと汗をかいて目覚める僕。
目の前にホテルの部屋の天井があり、驚いた姫様がベッド脇から立ち上がって僕を覗き込む。
彼女は何か言っていた。
でもよく聞き取れない。
外はまだ暗い。
何時くらいなんだろう。
そんな事をぼんやり考えていると、姫様がボカリスエットのペットボトルを口に運んでくれた。
ありがとう、も言えないまま僕はまた眠りへと落ちる。
酷く辛かった。
風邪の熱も、今見た夢も。
遠いどこかからバッハの無伴奏チェロソナタが聞こえてきた。
姫様がヘッドフォンつけてくれたのかな。
僕のために。
音楽には傷を癒す力がある。
僕はそう信じて疑わないタイプだけど、彼女がしっかり握っていてくれる掌の触感には、到底及ばない気がした。
6日目の朝。
遅い時間。
姫様に揺り起こされて目覚めた。
最後の日だっていうのに、体がさっぱりいう事を聞いてくれなかった。
熱はいくらか治まってたけど眠くてしかたなかった。
彼女がコンビニで買ってきてくれたスープとパンを時間をかけて食べ、お礼を言って、彼女にはもう帰るよう勧めた。
楽しかった新年の数日。
もう充分だ。
これ以上引き止めても可哀想だし。
午後も眠って過ごしてしまうだろうし。
彼女は何も言わなかった。
僕の手からパンの包みを取って捨ててくれ、飲み切れなかったスープを引き受けてくれた。
それから彼女は裸になってベッドへ滑るように潜りこんできた。
ひんやりとした彼女の肌。
シーツの衣擦れの音。
長い髪が、可愛いおっぱいに垂れてふんわり揺れる。
「寝てないから、寝る」
と彼女は言った。
午後から雨が降りはじめた。
ホテルの部屋は物音1つなくて、午後の美術室みたいな冷たい静けさがあった。
サイドテーブルの上の時計の振り子がモーターの入ったガラスドームのなかでくるくる回転している。
午後1時を過ぎた頃に、彼女の寝息を聞いた。
僕の記憶はそこで途切れていた。
後に残ったのは浅い眠りの中で見た夢。
今となってはどうでもいい、アジアのどこかの街並みと一枚のフロッピィディスク。
暗い部屋の中でまた目覚めた時、彼女はもういなかった。
クローゼットからも、バスルームからも彼女がここにいた痕跡すらすべて消え失せていた。
シンクの回りに撒き散らされた化粧品も、ベッド脇にあった紙袋の山も、一切合切が突然この部屋から切り取られて魔法のように消失した。
電源が投入されて待機画面になったままのノートPC。
サイドテーブルにあった一枚のメモ。
僕はふらつきながら、トイレへ立ち、その後で冷蔵庫からペリエを取りだしてガブ飲みした
焦って飲んだせいで鼻に逆流して、止まらない咳になった。
日が落ちてから熱が体の内側から再び沸き起こり、燃えるように熱かった。
体が酷くダルく、鉄みたいに重く、関節がギシギシと軋むようだった。
ライトのボリュームに手を伸ばしてなんとか捻る事ができた。
メモにに残された筆跡は達筆で、こう書かれていた。
「また熱が出るのかな。ちょっと心配です。だからクマを置いていきます。クマがヒロを見張っています。このクマは私の命より大切です。だからまた私に電話して必ず私のバッグに戻してください。
「p.s.ヒロの大切なお友達に連絡しておきました。遅くならない時間に迎えにきてくれるはずです。それまでベッドを出ないように。おっけい?わかった?恵子」
姫様はアドリブが利く。
彼女のあどけない仕草とか、細くて色っぽい声とか、綺麗な顔立ちに誤魔化されて肝心な事を忘れていた。
頭の良い子なんだ。
姫様は。
部屋の電話が鳴り、フロントから来客を告げられた。
22時を回ったあたり。
部屋にオタが入ってきた時、僕は床に座りこんで鼻水を垂らしていた。
拭き取る気力もなかった。
「面倒かけやがって」
オタは入ってくるなりそう言った。
でも言葉ほどトゲは感じられなかった。
僕は訳が分からずにオタにごめんと、何度も謝った。
オタは外に出るのが嫌いなんだ。
ところがここまで遥々やって来てくれた。
僕のために。
オタは車を持っているヒキだ。
廃車寸前の四駆。
僕はその助手席に収まって鼻水を垂らし続けた。
車がウインカーを点滅させてどこかの交差点を曲がった時、オタはこう言った。
「前言撤回だ。お前の嬢様は出来がいい。出来のいい女はお前にはもったいない。だからもう手を出すな。ホテルの精算も済んでた。送られて来たメールは丁寧で簡潔で、二重敬語もなかった。だから綺麗さっぱり忘れろ」
と言った。
「おまえの手には負えない」
と言った。
それから、僕は泣き出した。
声に出して。
「ほんとにごめんな。オタ。愛してるよ。心底」
車が自宅に到着する前に僕は嘔吐してゲロった。
四駆のシートに派手に撒き散らした。
ところがオタは窓を開けただけで、何も言わなかった。
僕の手に握られたピンクのクマ。
鼻に近づけるとかすかにミツコの香りがする。
姫様は、このクマが僕を見張っているといった。
でも、それは違う。
僕がこのクマなんだ。
君の所へ帰りたくて胸が張り裂けそうだ。
僕はいつだって一秒たりとも間隔を開けずに君の事を考えている。
君の胸こそが僕のいるべき場所なんだ。
7日朝。
重く辛い。
自室のベッドから這い出る事ができたのは奇跡的だった。
またいつものように白いシャツに手を通して、ネクタイを締める毎日の始まり。
体温計を見ると39度ちょい。
最悪のスタートだ。
家でもめるのは勘弁だったから、何事もないように玄関を開け、見慣れた商店街を抜け、駅へと向かう。
すれ違う女子◯生の群れ。
姫様といくらも違わない年の女の子たち。
ほんのちょっと人生のネジの調整が狂っただけで、あの女子◯生達のようには笑う事のできなくなった姫様。
僕はポケットの小銭を自販機に投げ入れて、適当なボタンを小突く。
出てくるのはお決まりの、どれを選んでも大差ない味の缶コーヒー。
僕はひょんな事から、普通とは違う、スペシャルな女の子に出会った。
名はリカであり、恵子であり、姫様。
かつ、そのどれとも違う僕の見知らぬ女性。
時々踏切の遮断機が閉じられ、車輪のついたデカい鉄の箱がいくつも通り過ぎてゆく。
都心へ向かう人間専用コンテナ。
その毎日の旅路は合計すると、きっと月よりも遠い。
僕はその旅路の途中で姫様を見つけた。
姫様は線路の脇を徒歩で進む難民だった。
色褪せたぬいぐるみが唯一の連れ。
小石に躓いただけで、終わってしまいそうな危なげな旅。
その連れはいま僕の黒皮の四角い鞄の中にいて、持ち主の暖かい掌へ帰る事を切望している。
自分の居場所は姫様のごちゃごちゃのバッグの中だと確信している。
昨夜、忽然と消えていなくなった姫様。
何で僕の手元にクマを残したんだろうな。
漠然とした考えが浮かんでは消えるけど、熱に溶けて頭からこぼれ落ちる。
その内電車がホームに滑りこんできて、僕は女子◯生と一緒に押しこまれる。
軽量ステンレスとポリカーボネイトの無機質な筒。
その内側では、僕は自分のフリをしながら呼吸する別の何かだ。
ネクタイモードにきっちり合わせる事ができる自分を僕は誇らしく思ってるけど、オタの冷ややかな視線を堂々と受け止める事ができない。
ひょっとすると、憐れんでもらうのは僕の方なのかもな。
変化を嫌って生きてきた僕。
置き去りにされた時、僕はクマを握ったまま泣く事しかできなかった。
あの夏の姫様のように。
あの冬、弟に置き去りにされた姫様のように。
出社して同僚と掌を合わせるようにして叩き合い、明けおめと挨拶してデスクに座ってPCを起動する。
たった1週間ほど前にも、僕はここにいた。
あの日を大昔のように感じる。
たしか姫様からの営業メールが届いた日だった。
年末に1つ面倒があり、晦日から日付が新年へと変わるまで同僚達と粘ったその痕跡がTFTに表示される。
素晴らしい仕事ぶりじゃないか。
誰しも仕事の精密な歯車になる事は難しい。
その困難さの履歴だ、これは。
僕は指の先で更新されたドキュメントを追い、背後に立った背の高い男と含み笑いを交わした。
何の問題もなかった。
僕らの努力は報われて、万事は順調。
そんなわけで僕は帰る事に決めた。
何が何でも、すぐに電車に乗り、暖かい自室のベッドで眠ると決めた。
信頼できる同僚のアドレス宛に、その言い訳を書いた短いメールを送信した時だったかな。
ケータイが震えて、メールを受信した。
「クマ返せ〜。電話しなさいってメモしたでしょ!」
姫様からだった。
胸に生暖かい鼓動が一拍あって、それは鳥肌を伴って四肢の先まで広がった。
続けてもう一通。
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