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体験談(約 96 分で読了)

【評価が高め】世間でいうクリスマスイブに綺麗な娘を買った(8/13ページ目)

投稿:2011-12-01 21:00:00

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本文(8/13ページ目)

規模だけなら新宿駅の方が上な気がするけど、東京駅はやけに広くて、大きい気がする。

遠いどこかとどこかを結ぶ、その拠点として考えてしまうからだろうか。

まあ、確かに新宿駅で感傷的な気分になったりはしないよな。

せいぜい気をつける事だ。

そんな気分はあまりいい結果を生まない事を、僕は経験則から知っている。

思い起こしてみると、説明のつかない奇怪な行動や、思わず赤面しそうな言動の元凶になってる場合が多い。

そんなわけで、僕は早くも芽生えた感傷的な気分を頭から追い出して姫様がやってくるのを待った。

急がないと。

あまりゆっくりしてられるほど時間が残ってなかった。

戻ってくるのは深夜になるかもしれない。

お互い迷ってしまわないように、東海道新幹線改札の前と指定しておいたのが良かった。

姫様が広いタイル張りのプラットホーム連絡通路を走ってくるのをすぐに捕まえる事ができたから。

2人でとりあえずコーヒーを飲み、それから横須賀へと向かう電車ホームを目指した。

お互いあまり口を利かなかった。

姫様は僕に寄り添うようにして、僕の腕をしっかりつかんで歩いた。

僕らが目指すのはかの地。

過去の時の中で永遠に凍りついて、絶対に溶け出す事のない場所。

彼女が過去にごっそり失った何かが、そこに散らばっているんだろうかと考えてみるけど、それは多分現実的じゃない。

彼女はただそこを訪れる事を望んでる。

自分の傷ついた気持ちがそこにある何かであがなえると、本気で信じてるわけじゃないだろう。

単純に考えよう。

彼女は弟に会いたがってる。

だから僕も同行する。

僕はウーロン茶と途中来る時に買ったベーコンサンドの包みを彼女に渡し、ホームに滑りこんできた電車に飛び乗り、彼女のために窓際の席を確保した。

僕は彼女がよく見えるようにと、対面の席に腰掛けたけど彼女が小声で

「手を握ってて」

と囁いたので、彼女の隣に座った。

客は疎らだった。

僕はCDウォークマンのイヤリングみたいなスピーカのRを彼女に渡した。

バッハの無伴奏チェロソナタ。

「気分じゃなかったら聴かなくていい。でもさ、こういう時は気分が落ち着く」

と姫様に勧めた。

電車がゆっくりと動き始めると彼女は僕の手をぎゅと握った。

頭をお互いにくっつけると、頭蓋骨が振動してボーンフォンみたく聴こえないかな。

僕の耳にあるのはL。

聴こえてきたのは小さな風の音だった。

車内を循環する空気の流れが、僕と姫様の頬をすり抜ける音だった。

横浜を過ぎたあたりから電車は闇の中へ。

小さく区切られた田んぼに突き刺さった地方企業の看板やガソリンスタンドのオレンジ色のライトが窓ガラスに反射した彼女の顔に重なって、視界の隅へと流れて消えてゆく。

疎らに見える民家の灯りはどこか淋しくて、多分彼女も同じように感じてたんじゃないかな。

僕の手を握る細くて長い指が彼女の気分にリンクして弱く開かれたり強く閉じられたりした。

寒くないかと訊くと、彼女は平気と答えてからバッグをごそごそかき回し、それからピンクのクマをひっぱり出して窓ガラスに立てかけた。

クマにも外が見えるように、頭のジンジャエルのキャップを少し捻って自立するように置いた。

クマは足が短くて、胴体が異様に長い。

そのバランスの悪さが愛らしくもあって見ていると切なくなってきた。

ずっと昔、このクマはこの風景を見た事があると彼女は言った。

ただ風景の流れは今とは逆で、東京駅へむかう電車だった。

その時、クマのご主人様はもうこの世界にはいなかったんだと言った。

僕はヘッドフォンのLを外して彼女にかけてやり、ボリュームを少し大きくした。

悲しい気分とかつらい気分を、音楽は押し流す力がある。

即効性はないかもしれないけど音楽には傷を癒す力がある。

僕はそう信じて疑わないタイプだ。

「ウ ル サ ク ナ イ カ ナ?」

口パクと身振りで彼女に聞いてみた。

たぶんボリュームサイズから僕の声は聞こえない。

彼女はすぐに理解して

「ヘ イ キ」

と答えてくれた。

僕の耳から音楽がなくなって、電車の規則正しい振動音だけになった。

乗客の話し声もしない。

電車は横須賀を目指していて、それはそんなに遠い場所ではないのに僕には長い時間に感じられた。

それは彼女の痛みが僕に伝染したせいだった。

彼女の僕の手を握るその爪が白くなっているせいだった。

横須賀駅に到着すると、僕はキオスクの自販機に走った。

ミネラルウォータとコーラを買い、コーラのキャップを外してミネラルウォータで洗い、残りをボトルごとゴミ箱に捨てた。

クマの新しい帽子だ。

姫様の口元に微かに笑みが戻ってきて、そいつが消えてしまわないうちに、タクシーを捕まえた。

話では車で5分くらいの距離らしいから、一気にあの場所を目指そうと考えた。

タクの運転手は陽気な中年で、駅前の美味いラーメン屋とか安く飲める居酒屋の話をひたすら喋り続けてくれた。

願ってもない事だった。

余計な事を考えなくて済む。

僕は帰りにそこへ寄っていこうと彼女に言い、運転手の喋りにいちいち相槌を打ちたいして面白くもない冗談に声を出して笑った。

運転手が本当にここでいいのか?と言った場所は確かに公園だったけど、想像していた雰囲気とは随分違っていた。

そこは公園ではなくて神社だった。

周りの空き地を盛り土で円形に持ち上げた感じの神社には滑り台とブランコと模型のような背の低い木が数本あるだけだった。

鳥居は朽ちて色がほぼなくなっていたし、酷い事に傾いていつ倒れてもおかしくない状態。

滑り台に砂場はなく、ブランコにはブランコが下がってなかった。

「ここでいいのかな?」

と訊いた。

彼女はこくりと頷いた。

僕は彼女に手を引かれて歩いた。

足下は暗くて木ぎれとかプラスチックのゴミが散乱しているようで、ここが人の記憶から置き去りにされている場所なんだとわかった。

明かりも音もなかった。

澄んだ空気のせいで星と月がやけにくっきりと見える。

吐き出した息が白い雲のように月に重なって、姫様は流れる影。

ずっとずっと長い事、彼女は渋谷の夜の闇の中で出口を失って苦しんでた。

だからここにある暗がりなんてちっとも怖がってない。

彼女の気配まで闇に溶けこんでしまった時、僕はなぜかちょっと安心した気分になった。

上手くいえないけど、彼女がここへ戻ってきた事を後悔してるようには思えなかったからかもしれない。

彼女が溶けこんだ暗がりを、僕も怖いとは感じなかったからかもしれない。

苔に覆われてしまった水道の蛇口。

風が砂をどこかへ持ち去った後に残った砂場だった場所の窪み。

首のなくなった狛犬。

高さの半分から下の全ての樹皮を失った樹。

その全部に思い出があると彼女は言った。

缶蹴りをやる時の陣地があの樹の生えてる場所で、子供達が掴んで回転するものだから、あの樹は樹皮を失ってしまった。

でも、こうやってまだ生きてるんだと、春にはしっかり芽吹くための準備をしているんだと感心したように言った。

あの夏。

彼女の弟もここで鬼ごっこやら、缶蹴りをやって走り回ったんだろうな。

彼女だってきっと同じ事をやったんだ。

僕らはお互いの距離を狭めるでも拡げるでもなく、闇の中で等間隔を守りながら狭い境内を彷徨った。

社の崩壊も酷いものだった。

子供達の遊び場所としての機能もとっくに失われていて、今では幽霊の噂を提供するくらいしか使い道がなさそうに見えた。

歩くと不気味な音を立てる床板に気をとられていたけど、何かの弾みで見上げた天井はちょっとした驚きだった。

見事に彩色された古い絵の数々。

そのほとんどは間仕切りの格子だけ残して滅茶滅茶に破壊されている。

でも、それが新ピカだった頃の派手さは容易に想像できた。

欠落した部分は、目を閉じた彼女の唇が魔法のように正確に復元してくれた。

黒い牛。

神官と黒い袈裟のたくさんの僧侶。

沢山の雲。

荒れる海面。

龍。

そして太陽。

彼女は太陽が描かれた天井板の一枚を指さして、ハァっと白い息を吐き出した。

あの太陽。

朱に塗られた一枚の板。

僕は彼女の顔を見た。

頬に伝って流れるきらきら光る水滴を見た。

きっと何かを思い出したんだろう。

あの板には何かがあるんだろう。

僕はあちこちに散らばるガラクタとゴミの山の中から、物干し竿を探し出してきて、力任せにその天井板を打ち抜いた。

大量の埃と一緒に、あっさりと板はやしろの床に落下した。

古いデザインの缶コーヒーの空き缶と一緒に。

彼女はその空き缶を拾い、指先で摘んでクルクル回して確認した後、ゆっくりと声を立てずに泣きはじめた。

「やっと帰ってこれたよ。ヒロ」

彼女はそう呟いたけど、ヒロが僕の事なのか弟の事なのかは分からなかった。

彼女は僕の手を握って静かに震えるように細かく、白い息を吐き続けた。

缶コーヒーは姫様が弟へ、小遣いの全部を使って買ってあげた誕生日のプレゼントだった。

ところが姫様も途中で飲みたくなって、結局は半分ずつ飲む事になったのだとか。

弟は空になった缶を社の天井に放りあげ、ゴミ箱には捨てなかった。

弟がなぜ必死になって天井へ投げようとしてたのか当時は不思議だったけど、今になって考えてみると、なんとなく分からなくもない。

と彼女は言った。

天井を壊すからと注意したにもかかわらず弟は缶を投げ続けた。

聞き分けのよかったはずの弟が投げ上げた缶は、外れた板と板の隙間から天井へ突き抜け、太陽の絵に乗っかって止まった。

「もう充分」

と彼女は言った。

「帰ろう、東京へ」

僕らは県道を横須賀駅目指して、テクテクと歩いた。

都心を離れると、冬の風はとても冷たい。

緩くひっかけた彼女の指だけに温度があった。

この土地を訪れてみると、今度は東京のあのホテルの部屋が存在感を失う。

おかしなものだと思う。

僕の斜め後ろを歩いてついてくる彼女。

俯き加減で、左手にはクマをしっかり握りしめている。

長い髪が突風に煽られて右へ左へ激しく揺れる。

空き缶はちゃんと持ったのかな。

鼻水がとまらないね。

ホテルに戻ったらヒーターを最強にセットして眠ろうな。

その前に何か食べなくちゃな。

頭をフル回転させてみたけど、ろくな考えが浮かばなかった。

僕は彼女に何もしてあげる事ができない。

今夜だからこそ彼女の笑顔が見たくなったのに、僕の頭は空回りするだけだった。

何とかして彼女の笑顔を見なくちゃいけない。

そうしないと、僕はまた姫様を求めてしまうだろう。

あの社の天井画のように滅茶滅茶に壊してやりたくなるだろう。

なのに、僕の頭は空回りするだけだった。

ずっとずっと空回りするだけだった。

横須賀駅は利用者の多い割にこじんまりしていてボロい。

日が落ちてしまうと商店街に混ざって、初めて訪れた者には駅らしく見えなかったりする。

僕らは駅間近の海岸沿い直線コースのどこかで立ち止まり、潮の匂いを嗅ぎ、汚れた海面に反射する光の束をじっと眺めた。

この頃には寒さが直接皮膚にまで浸入していて、コートの内側にさえ温度がないように感じられた。

彼女の手も顔も海からの風に撫でられて真っ白。

頬の赤みもない。

僕は彼女の指先を何度も擦って摩擦で熱を戻そうとしたけど効果はなかった。

ポケットから指を出し、外気に触れた途端感覚が無くなる。

彼女の頬を触っても自分の指先に触感がなく、頬は冷凍されたあと常温で自然解凍された肉みたいな不自然な柔らかさだった。

「夜景きれいだね」

と彼女が言った。

「あの光にジャンプしたらすぐ死ねるかな」

「1分で死ねるかもね。充分に冷えてるし、あまり苦しまないでいいかもしれない」

彼女が本気で海へダイブするとは思えなかった。

酷く落ちこんでいて、感傷的になってるのはわかるけどそんな思い詰めた雰囲気でもなかった。

彼女がジャンプするなら今まで何年もそのチャンスはあったはずだ。

僕は彼女の気が済むまで付き合った。

彼女の足が駅へ向かって動き出すまで長い事そこに佇んだ。

「ねえ、ヒロ」

「ん?」

と僕。

「もし一緒に死んでって言ったら、どうする?」

僕は笑った。

「死なないよ、絶対に。僕はお姫様を東京へ連れて帰る。あのホテルで暖かいコーヒーを二人で飲みたいから」

彼女はようやく歩き始めた。

クマを海に向かって突きだし、ちっちゃなフェルトの腕を摘んで海にバイバイさせた。

その時僕は、ここへ来る途中利用したタクシーの運転手を思い出した。

あのおっさんの話だと、この直線コースの先にたしかラーメン屋があるはずだ。

美味いかどうかなんて、この際どうでもよかった。

ラーメンのスープはどんな不味い店で食べたって熱いはずだ。

道の先に横須賀駅が見え、その手前に記憶してた店の名をみつけた時、彼女も黙って僕を見つめた。

僕らは言葉を交わさないまま店のドア目指して早足で歩いた。

意外にもラーメンは美味かった。

彼女は熱いスープをふぅふぅやりながら、鼻を啜り

「ありがとう今夜」

と言ってから、またぐずぐず泣き始めた。

東京駅に戻った時には日付が変わろうとしていた。

終電にはまだちょっとだけ余裕があったけど、僕らは道草しないで乗り換えホームを目指した。

酷く寒かった。

寒すぎて笑ってしまいそうなほど寒かった。

体がガタガタ震え、治まったと思うとまた震える。

寒くて麻痺してた皮膚にまともな触感が戻ってきたと思ったら、今度は鋭敏すぎるほどで、彼女が絡めてくる指先が直接神経を刺激するみたいにピリピリ反応した。

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