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なぜこうなったあん2(5/5ページ目)

投稿:2025-06-02 06:25:01

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本文(5/5ページ目)

小さな果実をこね回すようにぐにぐにと揉みしだかれる。

「やだっ‼︎触らないでっ‼︎いやああああ……‼︎」

渚沙は涙をボロボロと溢しながら、泣き叫ぶ。胸から伝わる不快感と嫌悪感、そして屈辱感。それら全てがごちゃ混ぜになり、渚沙の心を蝕んでいく。

「ちょっと、一揉みだけって言ってるでしょ」

姫子に頭を叩かれ、大我は名残惜しそうに手を離した。

「ごめん、つい夢中になっちまった」

大我はペコリと頭を下げて、列から離れていく。その間も、渚沙の胸に視線は釘付けだった。

(……私……、男の子に……胸を……)

渚沙は茫然自失の状態だ。

涙が顎から滴り落ち、床を濡らす。泣き腫らした目にほつれた髪がかかり、顔全体を覆い隠す。

「それじゃあ、次の人どうぞー」

姫子が嬉々として声をかける。

二番目の男子が近づいてくるのが分かり、深い絶望の谷底へと落とされていく。

(も……もう……いや……)

「すげー、プニプニしてる」

「早嶋、おっぱい触って貰えて嬉しいか?」

「早嶋さん……、綺麗な裸だね」

「い、いや……もうやめて……」

男子の指先が渚沙の小さな胸を揉みしだく。その様子はクラスメイト全員に見られていた。

触り方は人によって様々だ。

繊細な手つきで割れ物を扱うように触れる者もいれば、乱暴に揉んでくる者もいる。渚沙は大勢の人間に視姦されながら、羞恥と屈辱に震えることしかできなかった。

「あっ」

いきなり力強く触られ、驚いて声をあげてしまう。すると、それを耳ざとく聞きつけた者が「今、喘ぎ声あげなかった?」などと言い出す。

そこから連鎖反応で皆が更に騒めき立つ。

「うわ、まじか」

「渚沙ちゃーん、おっぱい揉まれて感じちゃったんですかー?」

「胸触られるのって、そんなに気持ちいいの?」

「いや、私はいくら揉まれても声なんて出さないけどね。あの子が変態なだけでしょ」

好き放題言われる度、渚沙の心がズタズタに切り裂かれていく。もう、声を出さないと下唇を噛んで耐えることしかできなかった。涙と鼻水で顔はぐちょぐちょになっている。

「うう……っ、ひっく……うぅ」

一人、また一人と胸を触られる度、一生癒えることのないであろう深い傷が刻まれていった。

「あっ、あうっ」

絶対に声を出すまいとしていた渚沙の唇が、不意に緩んでしまった。

胸を触ってくると思った相手がいきなり乳首を指で摘んできたのだ。神経の集中した小さく未発達な部分を責められ、渚沙は驚きの声をあげてしまった。

「ちょっと、変な声出さないでよ」

そう言って苦笑しているのは乳首を触ってきた張本人、敷島凛だ。いじめが始まってからというもの、侮蔑的な言葉を何度も投げかけてきた相手であり、渚沙は彼女に対して強い苦手意識を抱いていた。いきなり乳首を責めてきたのも悪意があってのことだろう。

「早嶋さん、乳首が感じるみたい」

凛が嬉々としてそう言うと、クラスは笑いに包まれた。

渚沙はいたたまれず、俯くことしかできなかった。打ちひしがれている渚沙を見て満足げな凛は「ほんと良い気味……」と呟いた。

「今まで調子に乗ってた分、これからもたっぷりいじめてあげるから。覚悟しといて」

そう告げられた渚沙だが、当然心当たりはない。どうして凛が自分に敵意を抱いてるのか、皆目見当もつかない。

(私、調子になんて乗ってないのに……)

渚沙が何も言い返せずにいると、凛は「ふんっ」と鼻を鳴らして離れていった。

その後、渚沙はクラスのおよそ七割の人間に胸を好き放題されることになってしまった。

どうやら乳首を触ると感じるらしい。そう考えた生徒たちは、我先にと渚沙の乳首をいじくり回した。

「んっ、ふっ……。やぁ……」

「うわ、また変な声だしてやがる」

「ほんと変態だよな」

男子から罵倒されながら乳首を弄られる度に、渚沙は声を漏らしてしまう。

渚沙はくすぐりなどに弱い体質で、敏感肌だった。決して性的な興奮を覚えている訳ではない。だが、そんなことを知らないクラスメイトは渚沙が感じているのだと信じて疑わない。

「あうっ、だめっ、ああ……」

少女の小さな乳首を指で弾いてその弾力を味わい、ソプラノボイスが奏るのを楽しむ。

男子のみならず、女子にとっても渚沙の反応は興味深いものだった。渚沙の体をまじまじと見つめ、感想を言い合っている。

「早嶋さん、なんかエロい……」

「乳首も乳輪もぷっくり膨らんでるし」

「これじゃあ男の子を誘ってるとしか思えないね」

そんな悪意に満ちた言葉が渚沙の耳に届くが、何も言い返せない。少しでも口を開けば喘ぎ声が出てしまうからだった。

(早く……終わって……)

白い裸身をくねらせ、この悪夢のような時間が過ぎ去ってくれることを願う。

男子の指が柔らかい肌の上を踊り、僅かな脂肪を波打たせた。

「ねーねー、姫子ちゃん。今度から毎日早嶋さんにこういうことさせようよ」

「んー、それもいいかもね。早嶋さんも喜んでくれるんじゃないかな」

「毎日揉んでたらあのペチャパイも大きくなってくるんじゃない?」

「私は触りたくないかな。だって、早嶋さん変な病気持ってそうだし」

「わー、それは酷いよ」

気にしないようにしていても、会話が耳に入ってきてしまう。

渚沙は、今すぐ耳を塞ぎたかった。だが、塞ぐための腕は押さえつけられていて動かせない。

その間も胸を揉まれ、乳首を弾かれ、突かれる。

「んっ、ふぅ……く……」

(誰か……助けて……)

渚沙は救いを求めるように周囲を見回すが、皆が醜悪な笑みを浮かべてこの状況を楽しんでいた。

ただ一人、亜耶だけは関わり合いになりたくないとばかりに教室の隅で黙りこくっている。

彼女が列に並ばなかったのは、渚沙にとって不幸中の幸いと言えるだろう。かつての友人へ情けをかけてくれたのか、それとも渚沙と仲良くなんてなりたくないという意思表示か……。

亜耶の真意は分からないが、もし彼女が列に並んでいたら、渚沙の精神は完全に崩壊していただろう。

そんな時、突然教室の扉が開いて「見張り係」を任されていたここあが飛び込んできた。

「やばい、先生がこっち来てる」

その瞬間、教室が静まり返る。

こんな状況を教師に見られたら、どうなってしまうのだろうと一同に緊張が走ったのだ。一人の女子を裸にしていじめている……、ここにいる全員に何らかの処分が降ることは想像に難くない。

厳しい受験戦争を勝ち残ってエリートの資格を得た生徒達だからこそ、問題を起こした時のリスクはよく承知している。姫子の権力があるとはいえ、本当に大丈夫なのだろうか。そんな不安がクラスに広がっていく。

だが、姫子だけは至って冷静だった。

「大丈夫だよ、皆。箕田くん。早嶋さんを掃除用具入れの中に突っ込んどいて」

指示を受けた悠はこくりと頷き、強引な手つきで渚沙を教室の後ろにある清掃用具入れのロッカーの前まで連れていく。扉を開くと、その中に強引に渚沙の体を突き飛ばした。

「きゃあっ‼︎」

背中をロッカーの側面に強打した渚沙は悲鳴をあげた。

姫子が渚沙の衣類を一緒に押し込んでくる。勢いよくドアが閉められ、渚沙の周囲は暗闇に包まれた。

「う……うう……」

背中の痛みに呻きながら、あまりに惨めな自分の境遇に涙する渚沙。狭いロッカーの中はモップや箒、バケツに雑巾が積み上がっている。窮屈で息苦しい空間だ。生乾きの雑巾の臭いが充満していて、気持ち悪くなってくる。

(なんで、私がこんな目に……)

これが今の自分の立場なのだと思うと、悲しくて悔しくて、涙が次から次へと溢れ出てくる。

少しして、ガラガラ、と教室の扉が開く音がした。教師が来たのだろう。

「おい、お前ら!こんな時間まで何してるんだ!」

聞き覚えのある声だった。数学教師の弓田だ。生徒から恐れられている反面、優等生の渚沙には甘い部分がある。それが、いじめが始まった原因の一部であることを、渚沙は知らない。

弓田の怒声にクラスメート達が怯んでいることは、ロッカーの中にまで伝わってきた。

「何って……。クラスの話し合いです。ちゃんと許可は貰ってますけど」

そんな中、毅然とした態度で反論したのは姫子だった。

「あ、ああ……。綺咲がそう言うなら本当なんだろうな。ただ、もうそろそろ6時になる。帰り支度をしなさい」

相手が学校運営に多大な影響を及ぼしている綺咲グループの一人娘とあって、今度は弓田の方がたじろいでいた。

「ん?そう言えば、早嶋がいないな。どうして一人だけいないんだ」

突然自分の名が呼ばれ、渚沙の心臓はビクンと跳ねた。

(ゆ、弓田先生……。私はロッカーの中にいます。助けてください……)

そう叫びたかったが、そんなことをしたら弓田に裸を見られてしまう。それに、そんなことをしたら姫子の怒りを買うことになるだろう。

音を立てないように息を殺していると、姫子の返事が聞こえてきた。

「早嶋さんなら、お家の用事があるからって帰りましたよ。それがどうかしたんですか?」

「ん?ああ、いや……。それならいいんだ」

弓田はもう一度だけ「早く帰れよ」と言って教室の外へと出ていった。

「何あれ、なんで早嶋さんがいないことに気づいたの?」

「やっぱ弓田って早嶋さんのこと好きなんでしょ」

「うっわー。ロリコン教師じゃん。キモ」

弓田が乱入したことで、すっかり興が削がれた気分になったのか、クラスメート達は口々に弓田の悪口を言い始める。

「そろそろ帰らないとね」

姫子のその言葉で、皆は帰り支度を始めたようだ。

渚沙は自分はどうしたらいいのだろうと、狭いロッカーの中で途方に暮れていた。

しばらくして、扉が開けられ蛍光灯の眩しさに目が眩む。姫子がニヤニヤ笑いをしながら中を覗き込んできた。

「早嶋さんも早く服着なよ。いつまでも裸でいたいのは分かるけどさ」

「う……ううう……」

まるで渚沙が自分の意思で裸でいるかのような理不尽な言い分だったが、今の渚沙にそれに反発する気力はない。

言葉を発することなくよろよろとロッカーを出ると、下着を身につけようとする。雑巾の付近に投げ捨てられていたパンティーは少し湿っていて、生乾きの臭いが移ってしまっているようだった。

涙をながら衣服を身につけているところも、皆に凝視されている。分別なく注がれる視線が、渚沙の心をさらに傷つける。

急いでブラウスとスカートを身につけ、ボレロジャケットを身につけると教室を出ていく。

「何度も言ってるけど、誰かにチクったり仮病使って学校休んだりしたらあんたの人生終わらせてやるから」

そんな言葉が、渚沙の背中に投げかけられた。

「うう……ぐすっ……。も、もうやだ……。もう、学校行きたくないよぉ。うえええええええええええん……うううう……」

帰り路、渚沙は人目も憚らず泣き声をあげていた。これ以上学校で酷い目に遭いたくなかったし、もう精神的にも限界だった。

クラスの全員に裸を見られてしまっただけでなく、露出狂扱いされ、男子達や一部の女子に胸まで触られてしまった。

明日からどんな顔をして学校にくればいいのだろう。男子達は、きっといやらしい目線を自分に向けてくるだろう。もしかしたら、また裸にされてしまいかねない。

いっそ学校を辞めてしまいたいが、それすらもできない。親に相談なんてできるわけがない。

「うう……ぐすっ……ええええええええええええん……」

こんな風に声をあげて泣いたのはいつ以来だろう。渚沙は自分が酷く惨めな存在になってしまったように感じ、涙を堪えることができなかった。すれ違った中年女性が心配そうな目で見てくるが、顔を伏せて駆け足で立ち去った。

渚沙にとって一生忘れられない悪夢の一日。

この日を境に、いじめは性的なものへと完全にシフトしていくことになった。

この話の続き

「おはようございまーす」「おう、おはよう!」自分を追い越していく女子生徒が二人、挨拶をしてきた。杉江蒼介は手を挙げて答えた。季節は梅雨の時期に差し掛かり、雨も増えてきた。今にも降り出しそうな曇天とは裏腹に、杉江の心は晴れやかだった。今日も一日頑張らないとな。持ち前の気合いで自分を鼓舞…

-終わり-
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