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体験談(約 61 分で読了)

【殿堂入り】【お勧め】自ら命を断とうとしていた、中性的なボーイッシュな女の子を助けた話(3/7ページ目)

投稿:2016-05-16 06:16:37

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本文(3/7ページ目)

俺はうまく発音ができてないようなややすっとんきょうな声で応えた。

「あたし・・・コウちゃんの大切なバイク・・・汚しちゃった・・・」

「い、いや!!・・・あ・・・謝るの・・・は俺だよ!あんな、ひどい・・・ことしたのに・・・!あーもう・・・!声・・・が出ねぇ!」

俺は嗚咽でうまく声が出せないことに苛立ちを感じる。

「あたし・・・最低な・・・女だよね・・・あんな酷いこと・・・言っちゃって・・・」

「綾ちゃん・・・もう・・・その話は・・・もうやめよう!・・・取りあえず・・・着替えとか・・・なんとか・・・しなくちゃ・・・!」

「・・・う・・・うん・・・」

たどたどしい口調だったが綾は聞き取れたようで、一言ではあったが返答してくれた。

俺は比較的ゆっくりと数キロほど高速道路を走り、インターを降りてすぐに近くにあるホテルへと入っていった。

「え・・・コウちゃん・・・?」

「ご、誤解しないでね!人目につかずに気兼ねなく着替えられる場所はここしか思い付かなかっただけだから!」

俺は必死に弁解をした。

疑われても仕方ないが、とにかく綾を気遣う事に夢中で下心の入り込むような余地は全くなかったのだ。

「う・・・うん、コウちゃん、ゴメンね・・・」

綾は申し訳なさそうな声を出していた。

俺はなるべく綾を見ないよう意識しながら部屋へ向かい、そのまま脱衣所に綾を一人で入室させ、俺は出口から静かにドアを閉じた。

「綾ちゃん。俺、今から外行って替えの服を用意してくるから少しだけ待っててくれる?心配しないで!必ず戻ってくるから!」

俺はドア越しに綾に話しかけた。

「え・・・?う・・・うん。・・・なるべく早く、帰ってきてね・・・」

綾は不安そうな声で応えた。

「それで頼みがあるんだけど・・・俺が玄関のドアを閉める音が聞こえたらすぐに鍵を閉めに来て欲しい。その音を確認したら行くから」

「それから戻った時は・・・ドアを連続で5回ノックをする。間を空けて3回・・・それが合図でいいかな?」

俺は少しでも綾の不安を取り除けるよう、細かく取り決めの説明をした。

「うん・・・ノック5回を・・・間を空けて・・・3回・・・」

その後、俺が玄関のドアを閉めた数秒後に鍵が閉まる音が響いた。

「・・・それじゃ、行ってくる!」

玄関越しに声を掛けた俺は徒歩で洋品店へ向かい、綾と俺が履くズボンとパンツを買った。

さすがにパンティーを買うには抵抗があったので、替わりに俺と同じ男物のボクサーブリーフを買った。

徒歩ではあったが、敷地内に止めたバイクの拭き上げも含めて20分ほどで綾の元へ戻ることができた。

「綾ちゃん。待たせてごめんね!」

合図のノックで鍵を開けてくれた綾が突然、俺の胸に身体を預けた。

「・・・ど、どうかした?!どこか痛い?!」

綾は俺の胸に顔をうずめたまま首を横にふった。

「・・・違うの・・・あたし・・・一人で・・・ずっと・・・怖かった・・・コウちゃん、戻ってきてくれるって・・・言ってくれたのに・・・」

綾の身体は降りしきる雨に怯える仔猫のように震えていた。

「綾ちゃん・・・」

綾はホテルに備えてある白いバスローブに身を包んでいた。

髪は洗ってなかったようだが、それでもすごく爽やかでとても心地のいいシャンプーの香りが俺の鼻腔をくすぐり、ほんの少しだけ覗かせた綾の透き通るような白い胸の谷間に俺は不思議と下卑た下心ではなく愛しさを感じていた。

「・・・綾ちゃん。さっきは本当にゴメンね・・・。俺、これからは・・・」

その時、俺の胃袋が空腹の限界を超え鳴り響いた。

「・・・コウちゃん?」

綾は俺の顔を目を見開いて俺を見ていた。

「い、いや、あのっ、これは生理現象てか・・・あ、あははは・・・」

俺は綾から離れ、左手でお腹を抑え、首を斜めに傾け、右の手のひらを綾に向けながら言い訳をした。

空腹でお腹が鳴っていたのは徒歩で買い物を済ませた時からだった。

あの時のいざこざで水族館で買ったホットドックやジュースは一口も手を付けずじまいの上、動き回っていたのが原因だろうが俺はとにかく焦った。

「コウちゃん、お腹空いたの・・・?」

無邪気な顔で綾は尋ねた。

「ぜ、全然大丈夫っ!大丈夫!うん!」

「・・・あたし、お弁当持ってきたんだけど・・・食べる・・・?」

「・・・え?お弁当・・・!?」

ビックリして俺は聞き返した。

「うん。こういうの初めてだから持ってきた方がいいかなって・・・」

綾は照れたような顔で答えた。

「食べていいの!?」

「うん。あたし、コウちゃんの分も作ってきたから・・・けど、あまり美味しくないかも・・・」

ものすごく嬉しかった。

俺は応接間にあるテーブルの上に綾から受け取ったお弁当箱を置き、胸を踊らせながら綾の作ってくれたお弁当を蓋を開けた。

卵焼きとウインナー、ミートボールに鶏の唐揚げ。

失礼ながら定番のお弁当だったけど俺にとってはとても素晴らしい絵画を眺めているような・・・そしてどっちか選べと言われたら例え数万のフルコースを出されても迷いなく綾の弁当を選ぶだろう。

「・・・無理しなくていいよ?」

綾は遠慮がちに言ってきたが俺にとって綾が作ってくれたお弁当は本当に美味しかった。

それは過酷な減量に耐え、試合を終えたボクサーが最初に口にした食事のような・・・。

そして特に唐揚げは大好物だったので、その旨をつい綾に口走ってしまった。

「唐揚げはお母さんから教えてもらったんだ。コウちゃん、唐揚げが好きなんだ?」

綾の口調はとても嬉しそうだった。

「うん、前に一ヶ月くらいお昼に唐揚げ弁当ばかり食べた事があったけど全然飽きないくらい」

「えー!?うそぉ?」

「いや、冗談抜きでマジ!」

「身体に悪いよそれ?!」

「うーん、俺、好きなものならずっと食べても飽きないっていうかまぁ、悪く言えば他のもの探すの面倒だからつい同じもの選んじゃうんだよね」

俺は好きなものは最後に食べる主義なので残った唐揚げを口に入れながら答えた。

「あたしのも食べる?」

綾はお弁当箱を向けた。

「でも綾ちゃんのがなくなっちゃうよ?」

「あたしは大丈夫。結構食べたし、それに今何もしてないから太っちゃう!」

「そうかなぁ、そんな事しなくても十分細いじゃない」

「えー!これでも気になる所あるんだよぉ?!」

「ほぉ?では、エッチ目線、もとい、紳士目線で判定してあげるからちょっと脱いでみようか?」

「あはは!てかぜっったいヤダ!コウちゃんのエッチ!」

ウケ笑いしながら綾は胸元を隠した。

「これは大変失礼を致しました。愚者の戯れ言と、どうかお許しくださいませ。綾様」

「うん!では許す!」

そんな面白おかしいやり取りをした後に俺と綾は着替えを済ませ、ホテルを後にしてそのまま綾を送っていった。

待ち合わせた場所に着いたとき俺はある不安に駆られていた。

いや、送っていく途中から・・・といった方が正しいかな。

綾との甘く楽しい時間はこれで終わるかもしれない・・・という不安が・・・。

「今日は色々あったけど・・・楽しかった」

バイクを降りた綾が俺にヘルメットを渡しながらにこやかな顔で今日の感想を述べた。

「いや、そんな・・・俺、あんなことしちゃって綾ちゃんにすごく申し訳ないっていうか・・・本当にゴメンね・・・」

対する俺は落ち込んだ顔で答えた。

(また逢いたい・・・)

そんな想いが頭の中を駆け巡ったけどなかなか口に出せなかった。

「・・・コウちゃん・・・」

「ん?!なに?」

「・・・コウちゃんはあたしのこと、好きだって言ってくれたけど・・・今でも好き・・・?」

「あ・・・も、もちろん!あの時はつい言っちゃった感じだったけど勢いとかじゃなくて本心だから!」

俺はヘルメットを外しながらしどろもどろに応えた。

「・・・コウちゃん・・・。あたしのこと、守ってくれる?」

綾は真剣な顔で問いかけた。

「・・・うん・・・俺は綾ちゃんを守るよ。全てをかけて守ってあげる!」

俺も真剣な顔で綾の問いかけに全力で応えた。

「・・・コウちゃん・・・」

綾は俺の名前を呟き、そのまま俺の唇に自分の唇を軽く合わせてきた。

その際、お互いの鼻が当たって上手くいかなかったが、確かに俺の唇には綾の唇の感触があった。

「あ、綾ちゃん・・・?!」

「・・・ありがとう。あたし、絶対に負けないから・・・!」

綾は目を潤ませて決心していた。

「・・・あたし、コウちゃんに・・・また逢いたいな・・・」

綾は伏し目がちに言った。

「お、俺も綾ちゃんにまた逢いたい!今度はちゃんと安全運転するから!」

「・・・ありがと。それじゃまた連絡するね」

「俺も連絡するから・・・!」

「うん・・・それじゃ、またね」

そう言って綾は振り返って歩いていった。

綾を守る!

俺は拳を握り締め、綾と同じようにある決心をした・・・。

次の日、俺は仮病を使って有休を取り、ある場所へ来ていた。

午後3時を過ぎたくらいに、その場所からまばらに制服に身を包んだ女の子達が出てきた。

そう、ある場所というのは綾の通っている学校・・・。

俺は正門と道路を挟んだ反対側の路肩に停めた状態のバイクに寄りかかってじっとしていた。

通りがかりにの女子◯生達はチラチラと俺を見てきた。

いつもなら得意気になってそうだが今はそれどころではない。

俺は携帯を取り出し、ディスプレイの番号を確認して電話をかけた。

「・・・もしもし?」

「綾ちゃん?学校終わった?」

「コウちゃん?!あ、うん。今終わったとこだけど・・・」

「俺ね。今、綾ちゃんの学校の正門のところにいるんだ。すぐに来て欲しい・・・」

「えっ!?学校の正門?!どうし・・・」

(・・・あれは?!)

俺は電子音と共に俺は綾の問いかけを途中に通話を終了した。

俺の視界に昨日、綾を罵倒したあの三人組の女達の姿が映っていた。

(間違いねぇ!俺ぁ、忘れちゃいねーぞ・・・?)

あの時の怒りが再燃してきたが、俺はぐっとこらえて怒りを矛に納めた。

3人組の女達は俺を覚えていなかったようで、チラ見した程度でそのまま去ろうとしていた。

「・・・ねぇ、そこの三人組のおねえちゃん達ぃ!」

俺は大きな声で呼び止めた。

3人組の女達はもちろんその場にいた全員が俺に注目した。

「そこの学校のバック抱えてる2人と・・・それと黒のリュックと背負った、そう!3人組のおねえちゃん達だ!」

「俺のこと、覚えてるかい?!昨日の水族館の件も含めて話しておきたいことがあるからそこで待っててよ」

指名された女達は俺を思い出したようで青く顔色を変え、互いに顔をあわせていた。

「ちっと告白しときたいだけだから聞いてくれるだけでいい!すぐ終わる!」

女達は身構え、俺への警戒心を露わに出してきた。

呼び止めたのは3人組の女達だけだったのだが、なぜかその場に居合わせた女子◯生達は誰一人動こうとはしなかった。

恐らくこれから起きるイベントに興味が沸いたのだろう。

そこには奇妙な空間が出来上がり、俺は再びバイクに寄りかかり沈黙のまま、3人が逃げ出す事のないよう目を光らせつつ綾を待っていた。

ほどなくして俺は正門の方角からこちらへ一人走ってくる女の子に気がついた。

綾だ。

「おーい、綾!ここだよ!!」

俺は綾に頭上で手を振って綾を呼び寄せ、女達は駆けつける綾と俺を交互に見るような素振りを見せた。

「コウちゃん!?え!?なんで!?どうしたの!?」

息を切らしながら綾は俺に質問をぶつけてきたが、俺は何も言わずに右手で綾を抱き寄せた。

「コ、コウちゃん?!」

「綾ちゃん・・・このまま、少しだけ我慢して・・・」

俺は綾に囁くように伝え、女達へ再び話しかけた。

「待たせたね!おねえちゃん達!・・・俺はこの綾に心底惚れてるコウっいう者だ!俺にとって綾はかけがえのない大事な女だ!ガチで命かけてでも守りぬく覚悟でさぁ!」

その時、周りから冷やかしに近い歓声が沸き上がった。

俺はその歓声が静まる時まで沈黙を保った。

「声援、ありがとう!もうすぐ終わるから、あと少しだけ!みんなにも証人として聞いておいて欲しい!」

(今思えば警察を呼ばれても仕方ないかと・・・スゲー事したなと自分でも驚いている・・・)

「今後!綾にまた何かしでかすような事があれば俺は綾を守るために手段は選ばねーぞ?」

女達はただ黙って聞いているしかなかったようだ。

「もちろん!綾に何事もなければ俺からおねえちゃん達に会うことも・・・待ち伏せするといった行為は一切しない!」

「話はそれだけだ!それじゃ!おねえちゃん達!ごきげんよう!!」

「それと・・・俺のワガママに付き合ってくれた皆さん!ご静聴くださいまして・・・ありがとうこざいました!」

舞台俳優ばりの声で俺はおねえちゃん達と女子◯生の方々に自分の意思を感謝の意を伝えた後、歓声と拍手の中、俺は綾を見つめた。

「綾ちゃん、とりあえずだけど・・・これで・・・いいかな・・・?」

綾はその瞳に涙を浮かべながら静かに頷いた。

「・・・行こう・・・綾ちゃん。送ってくよ」

俺は綾を後ろに乗せ、周囲の視線と歓声を浴びながらその場を後にした。

「・・・綾ちゃん・・・その・・・勝手なことしてゴメンね・・・」

「・・・うん・・・」

綾からの返事はとてもか細かった。

その時、俺は激しく後悔してした。

(お前さぁ、その後先考えない性格はどうにかならないのかな?!)

呆れ果てた顔をしたもう一人の俺が頭を描きながら今の俺を責めている感じがした。

これで綾にフラれても自業自得というもの。

相手を泣かせたり傷つけるしかできないならお前に恋愛をする資格などないと。

俺は綾への想いを届け続ける事をほぼ諦めてかけていた・・・。

「・・・コウちゃん、その信号を右に曲がって・・・」

自問自答をしている最中(さなか)、綾が俺に指示を出した。

「えっ?!あっ、うん!ここね!」

俺はややもたつきながら右折した。

「・・・そこから2つ目の信号を・・・」

綾は数回ほど俺に道順の指定をした。

俺自身、この辺りの土地勘と言えば大通りを通過する事がほとんどなので裏道については曖昧な箇所があったこともあり、俺は特に気にせずに綾の指示に従った。

車の通行がほとんどない寂しい通りを走行中、俺は綾から背中を3回、軽く叩かれた。

「どうかした?綾ちゃん?」

バイクを路肩に停車し、俺は綾に問い掛けた。

「・・・」

綾は無言で俺のお腹の辺りを手のひらで2回軽く叩いた。

「ん?」

俺は自分の腹部を見た時、綾は左手で右の方向を小さく指差していた。

俺は立ちゴケ防止に備えてサイドスタンドを掛け、ハンドルから両手を離しながら上体を起こし、やや見上げるような仕草で綾の指を指した方角に視界を移した。

「・・・え・・・?綾・・・ちゃん・・・?」

「・・・学校の部活動で校外ジョギングしてた時に見かけてすごい綺麗だなぁって・・・」

視界の先には4階か5階ほどのやや白っぽいレンガ調の壁で覆われた綺麗な建物があり、入り口のすぐ隣にある噴水の中央には水に浸っている石碑があり、その中心部にはその建物の名称が刻まれていた。

「えっと・・・これって・・・なんて言うか俗に言うラブホテ・・・」

言葉途中に綾は俺の腰を回した腕をややきつく締め付け、俺の背中にヘルメットを押し付けた。

・・・それ以上、女の口から言わせないで・・・と言いたそうに・・・。

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話の感想(5件)

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  • 5: ロディニアさん#NIgAgVU [通報] [コメント禁止] [削除]
    本当に投稿主は人たらしなバイク乗りだな、お陰で読んでるこっちまで満たされた気分になってしまったな。自分にとってこのお話は言うまでもなく「人助けモノ」の工口い体験談の金字塔だし、何ならエチケンの体験談部門における全ての書き込みの中でも単話としては間違いなく最高傑作なのではないかな。

    0

    2024-02-20 02:10:35

  • 4: 名無しさん#IFgxIAU [通報] [コメント禁止] [削除]
    いいね、良かった

    0

    2023-08-13 19:56:13

  • 3: 名無しのKさん#GDhVhQc [通報] [コメント禁止] [削除]
    めっちゃ感動しました...!

    3

    2021-08-27 12:19:52

  • 2: 名無しさん [通報] [コメント禁止] [削除]
    ちょっとウルってきたわ、後日談も含めすごく良かった。

    6

    2020-01-05 02:52:03

  • 1: 名無しさん [通報] [コメント禁止] [削除]
    すごく楽しかったです。初体験や結婚の話も聞きたいです。

    6

    2019-08-28 15:26:07

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