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タイトル(約 4 分で読了)

【評価高め】
自分と出会うまで、嫁は修羅場のオンパレードだった

投稿:2014-01-01 21:00:00

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名無し

俺の嫁さんの半生は無茶苦茶な人生だった。

5歳の時両親がW不倫で離婚し、どちらも引き取らず施設へ。

そこの施設では虐待、いじめのオンパレード。(まともに中学校もいけず)

16歳で脱走し、夜の世界へ。

そこで出会った男には金づる扱いで、挙句の果てに893に身売りされかけ、その後は逃げるように各地を転々としながら派遣として某観光地のホテルで働く…という修羅場の見本市みたいな嫁だった。

出会いのキッカケは、嫁が働いていたそのホテルのバーに入った時、俺がバーテンダーをしていたから。

従業員同士なのでちょくちょく顔を合わせる事もあり、次第に仲良くなっていった。

とは言っても最初はめっちゃ警戒された。(嫁曰く、嫌いとかじゃなく過去の経験から)

バーに来る回数を重ねる毎に彼女への想いも強くなり、とうとう彼女に想いをぶつけたが、答えは

「考えたい」

との事だった。

それを機に彼女がバーへ来る事も途絶え、諦めかけていた。

ひと月経ったある日、彼女がふらっとバーへ現れた。

「俺君の事は好き…でも怖いんだ」

「怖いって、性格とか?」

「そうじゃないんだ…」

とうとうと過去を話す彼女。

虐待の事…男の事…手首の自殺痕の事…。

「だから…諦めた方がいいよ?」

「でも…好きって言ってくれたじゃん…少しずつでいいから俺の事信じてくれないかな」

我ながらダサい台詞だったと思う。

「…うん…分かった…信じてみる」

こうして彼女と付き合う事になったが、ここからが本当に大変だった。

彼女曰く、トラウマと言うのは何気ない時でも簡単にフラッシュバックしたり、防衛反応を起こすらしい。

当時は部屋で2人でまったりしてても、俺が不意に動くと頭を抱えてガードしたり、彼女が飲み物をこぼした時は

「ごめんなさい…殴らないで…」

など、常に俺の挙動に怯えていた。

また別の時、メールをしていたら返信が途絶えたので、寝たかな?と思っていると彼女が深夜に部屋に来てメールを返さなかった事を謝りに来るなんて事もあった。

「大丈夫…この部屋にはそういう事、絶対ないからな…」

そう言って彼女を落ち着かせる事しか出来ない自分が虚しかった。

そんなある日、彼女がこんな事を尋ねた。

「俺君は怒ったりしないの?」

少し迷いながらも、

「あんまり酷い目にあったら怒るよ?」

「メール返さなかった時は怒らなかったよ?」

「別に怒るような事じゃないじゃん」

「謝ったから?」

「あの日…別に謝ったりしなくても、俺は怒ったりしなかったよ?」

「何で?」

「疲れて眠かったりなんて事、誰だってあるじゃん」

「そうだけど…」

この時、何となくだが彼女の抱えてるトラウマの一部を分かった気がした。

俺は1つの「ルール」を決めた。

「自分のしたい事を優先しよう」

「どういう事?」

「眠かったら寝る、腹減ったら食べる、風呂入りたくなったら入る。ただし浮気は除く」

「浮気ってwwしないしw」

初めて彼女の本当の笑顔を見た気がした。

その日を境に、彼女が少しずつだが「普通」になっていく気がした。

中でも変わったのは、彼女が「頼み事」をするようになった。

「ゴミ箱取って?」

「エアコン停めてくれる?」

普通なら気にも留めないやり取りが嬉しかった。

デートの提案もするようになった。

「最近楽しそうだね」

と聞く上司に、

「そうですねw」

と答えるのを見て嬉しかった。

だが、トラウマと言うのはなかなか消えてくれないものらしい。

月日が流れ、俺は独立して自分の店を持つ事になり、ホテルを辞める事になった。

そこで俺は彼女にプロポーズした。

答えはもちろんYESだった。

俺の地元で店をやる事にし、マンションも借り、新生活を始めた。

だが、それもまた大変だった。

部屋にソファーを置いたのだが、彼女は床に正座している。

「ソファー嫌い?」

「座っていいの?」

「ここは彼女ちゃんの家なんだから、好きに使っていいんだよ」

嫁曰く、その頃は自分が部屋の主でもあるという事が理解し難い事で、寮の時と同じくマンションも俺の部屋に来ているのと同じ感覚だったらしい。

また、マンションでの初めての夜、俺が開店準備で帰宅が深夜になり、ベッドルームに入ると、俺に気づいた彼女が反射的に飛び起きて正座する、なんて事もあった。

「大丈夫…寝てていいよ」

「うん…俺君だから…ぶたれないんだよね?」

「…抱き締めるけど、な」

出会って2年経ったその日、彼女と初めて唇を重ね、体を重ねた。

そんなこんなでいよいよ開店の目処も立ち、俺の両親に挨拶の日がやって来た。

彼女はとにかく心配そうだった。

実家に着き、改めて彼女の事を両親に話す。

「分かった…これからも息子をよろしくお願いします」

親父の一言に安堵した彼女は泣いていた。

「彼女のご両親にはいつ伝える?」

ハッとなった。

どう話せばいいのか…逡巡している俺。

だが、彼女は意を決したようにゆっくりと話し始めた。

…親の事…施設の事…16歳の事…話が終わって発した両親の一言は、今でも嫁さんの心に残っているらしい。

「じゃあこれからの両親は…私達で良いわね?」

「俺娘欲しかったんだけど、母ちゃんが2人でいいって言うしさぁ」

「…ありがとうございます…私でよければ…」

彼女はその日に嫁という立場になり、両親という人を得た。

その日は1日泊まる事になった。

夕飯の時間になり、お袋の準備を手伝う嫁は本当に楽しそうだった。

料理が食卓に並び、

「いただきます」

の声。

「食べてもいいんですよね…?」

「そうよ…遠慮しないで沢山食べなさい」

お袋の声を合図に、嫁は今までの過去を流し去るようにワンワン泣いていた。

昨日結婚5周年のお祝いをした時、嫁に

「俺君に会えて初めて人生楽しいって思えるようになりました」

って言われたので記念語り。

付き合っていただきありがとうございました。

-終わり-
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