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タイトル(約 23 分で読了)

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あの日のこと~家族への洗礼

投稿:2022-06-23 01:48:55

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ピュア・シュガー◆IIhnI2U
最初の話

あの日のこと- 名も知らぬ女とのアナルセックス

その日はひとりで居酒屋で飲んでいた。カウンターの端で店の喧騒を耳にしながら。やがて隣にカップルが座った。女は目を引く美形で服のセンスもいい。男の方は学生がまだ抜けきっていない感じでいささか不釣り合いな感じがした。海産がウリのこの店の貝の刺身が来ると、女が話しかけてきた。「それおいしそうで…

前回の話

マリが戻り、穏やかな時間を過ごして、オレは人間性を恢復することができた。

マリのいない無為な日々から一転して世界が光に満ちたものになった。

マリは生きるエネルギーそのものであった。

マリは、突然消息を絶った理由を整然と話してくれた。

ライフワークとしてのヨガのステップアップ、そして自分の行く末を見据えてオレとの関係を距離を置いて確かめてみたい、そんな気持ちを語り、LAとロンドンにいる知り合いを頼りに海外でヨガの研鑽をしてきたという。

なんとも豪放な話しだが、事前にオレに承諾を請えば、反対されるのが目に見えたし、何より本人の決断そのものが揺らいでしまうと思ったらしい。

一度決めたら、火の中へでも飛び込む、マリらしい話しだ。

マリが倉庫業者に預けておいた家具もオレの部屋に運ばれて、完全な同居生活がはじまっている。

帰宅すると、甲斐甲斐しく夕飯を拵えている時もあり、彼女が仕事の時は、冷蔵庫に惣菜が収まっている。

会いたい時に会っていた関係が、いつでもそばにいる関係となっても、マリに厭きることはなかった。

部屋の中にヨガマットを敷いて、全裸でヨガのポーズをとったりしている姿を見ると、さすがに目のやり場に困る。

トイレから出てきたマリが裸の尻をオレの顔に差し出した。

「ほら、……舐めて……舐めてよ、エリのは舐めてあげたんでしょ。あたしのも舐めて」

エリの奴……オレとのことをマリに言ったとは聞いていたが、プレイの内容まで教えていたとは。マリが渡米、渡英する前のことをマリは憶えていた。女はつまらぬことを忘れない。

人生二度目の女の糞を舐めてしまった。その味はエリと変わらぬように思えた。マリの肛門にも茶色の小さな粒がこびり付いている。酸味と苦味が舌に痺れる。だがその後の反応がマリらしかった。

「あー……舐めてくれた。あたしのウンチ……」

そう言うとマリはその痛みをわけて、とでもいうようにオレの口に舌を入れてきた。自分の糞の味も感じている。舐めたオレを愛おしいと思っているのだろうか……。

常軌を逸した行為にオレのモノは出来上がっていた。

「やだぁ、あたしのウンチ舐めて……おっきくしたの……?やっぱ……超変態だね……大好き」

「………おまえが舐めさせたんだろ」

「ウンチって苦いね……」と惚けている。

これ、欲しいとマリが勃起を揉んでいる。

「お尻じゃなく前でね……」

子供を作る約束、そのため最近アナルセックスは禁じられてられいる。

ショーツを脱がされ、マリが乗ってきた。マリの秘所はすっかり潤ってる。

「ヒトに尻の後始末させて、濡らしてるほうが変態じゃね…?」イジメたくなる。

「…‥だって……」

もう言葉は続かない。マリはプッシーで勃起を味わっている。そして最近のマリのお気に入り、それは自分の指を肛門に入れて腰を揺することだ。アナルセックスをしない分、指で楽しんでいる。

だが今日は排泄したばかり。それでもマリは肛門の感触を求めて指を挿れている。中の襞一枚隔てた指先の動きが、オレの勃起に伝わっている。

「ああ……お尻…ヌルヌルしてる……ウンチ」

あまりの、はしたなさにマリ自身が興奮してる。マリに禁忌はないのか……でもその奔放さにオレは魅力を感じている。マリはしばらく肛門を突いていた指をふたりの顔の間に差し出した。

それはやさしい腸液の匂いではなく、大便の匂い、糞の匂いであったが、マリのモノという愛しさがあった。嫌悪する匂いではなかった。

「クッサ~ウンチのにおい……あたしのにおい…」

マリは顔を顰めながらも陶酔してるように見えた。最強のナルシスト……。

変態に見えないド変態とミズキはオレのことを呼んだが、マリこそ変態には全く見えない。

明るく快活で端麗な女。それなのに今やってることはなんだ……。

「……ね、お尻に指いれて……」

マリは嗅いでいる指の代わりにオレの指を要求した。

尻の溝を伝い指を差し込む。ワセリンでも塗ったようにヌルッと指が埋まる。

「あっ……掻き回して……そこ」

プッシーだけでは物足りないのだろう。マリの肛門は快感を完璧に覚えてしまっている。そこには恥も外聞もなく、快楽を求めることのみがあった。

マリはその糞の付いた指をオレの口に押し込んできた。

「舐めて…‥.あたしのぜんぶ……」

いいさ、マリのモノならちっとも汚くない……ぜんぶ舐めてやる。

この背徳過ぎる行為にオレたちは酔いしれた。マリの指を咥え、マリの肛門にオレの指を突き動かしながら、子宮の奥に届かんとばかりに突き上げる。

「ダメ~がまんできない……やっぱり、お尻にきて…早く…」

その言葉を待っていた。勃起の位置を後ろにずらす。マリも尻の位置を合わせた。

久しぶりのマリの肛門。マリの腸壁をかき分けてオレの勃起も喜んで小躍りしている。

「ああ……いい……おしりいい…ズンズンくる……」

「オレのチンコ……マリのウンチまみれになってるな…」

「ヤダ……でもウンチまみれでだして…ンン…おしり…すごく………」

お互いの目指す場所に思いが届いた。マリを抱えて唇を合わせる。マリを吸い尽くしたい。そのまま下からズンズン突き上げる。やがてオレとマリは、ほぼ一緒に果てた。

寝物語でマリはLAとロンドンにいた間、3人の男としたと白状した。

1年の人数としては多くない。

マリのいない間、オレはミズキと一度しただけだ、と正直にこたえた。それもおまえの実家に行った帰りに。そう言うとマリは切なそうな顔をした。

「でもお尻はね、ゼッタイやらせなかった。みんなあたしのお尻狙ってくるの。でも、お尻に痔があるからダメって言って……痔って英語でなんで言うのかわかんないからソッコーで調べてさ…」

とケラケラ笑った。

「マリの尻…みんなやりたかったんだろな…」

「あたしのお尻はね、これしかイレさせてあげない……」

そう言い、オレのモノを握った。うれしいことを言ってくれる。

フランス人の尻好き男のアランは、マリのことをアジアン・ビューティーと呼んでいた。

色白で切れ長の目、博多人形を思わせる顔立ち、それでいて化粧すれば妖艶になる。

外国人からすれば、神秘的な東洋の女に見えるだろう。その尻を散々オレは掘っていたから、マリの尻は、周りにさぞかし色香をまき散らしていたに違いない。

マリはヨガスクールの中でめぼしい男を見つけていたらしいが、そいつらはマリの魅力的な尻をやっつけたいと眺めていたであろう。

見知らぬ異国の男たちへの優越感に浸る。

みんなジェントルな相手ばかりで良かった。

ちゃんとね、コンドームは付けさせたから、とマリは得意気に言うが、尻の貞操を守ってくれたことで嫉妬は全くわかなかった。長い間、若い女が何もしないでいる方が不健康だ。

マリとの結婚には躊躇いはないが、一度失敗しているので、結婚そのものに肯定的な考えがなかった。2年で別れた前の妻、束縛がひどく、性的嗜好が合わなかった。

両親に会って欲しいというマリの要望、それはほんの数ヶ月後に実現することとなった。

健康な女性が、性交し正常に受精し、受胎する。

マリの生理の遅れを聞いてはいたが、それはある夜、帰宅すると、玄関でマリが飛び付いて来て知らされた。

簡易キットで調べて陽性なので、産婦人科を訪ねたら、妊娠を告げられたという。

嬉しいが、男の身には実感が無い。マリは思いが叶って小躍りしていた。

これからはいろいろ身体に気をつけろよ、そんな言葉しか出てこない。

いきなり、これからやるべき事が山積みされた。結婚、両親への挨拶、子供のこと……。

マリの故郷を尋ねるのは三度目になった。最初は、マリとミズキ、エリと共に。次はマリの消息を追ってミズキと共に。そして今回は、マリと共に実家に向かっている。最初にマリの家を見た時、オレは挨拶をすべきかどうか迷った。どう言葉を紡げばいいか、浮かぶものがなくそれをかき消した。そのことが、もう遠い日に思えた。

道すがらにマリの家のことを聞いた。立派な普請の家、数寄屋造りの旅館と見紛う庭も配していた。マリの家系は、かつて石炭坑を有していたという、なるほどお嬢だったのか、今更だが、はじめて聞く話しばかりだった。敢えてオレはそこに触れないようにしてきたのかもしれない。

炭鉱が廃してからは所有している街中の不動産をマンションや貸ビルなどに活用し、飲食店など数店舗経営しているという。それだけで地元では、かなりの資産家だと思うが、これまでマリは一度もそんな話しをすることはなかった。ま、オレも聞かなかったが、彼女は、そのことをおくびにも出したことがない。

マリに聞くと、だって、あたしの家のことは関係ないもん、あたしがしたことじゃないし、と答えられた。そういう潔さにオレは傾けられてきたのだろう。

たしかにこれまで、マリが実家からなんらかの援助を受けたことはなかった。季節の果物などが送られてくることはあったが、彼女は夜の仕事までして、ヨガスタジオを開設していた。オレの援助を快く受け取ってくれたこと。それが、マリの気持ちを思い知れた。

手入れの行き届いた庭を抜けて、ただいまぁ、とマリは老舗旅館のような開戸を開けて入った。彼女にとって実家に帰って来たに過ぎないが、珍しくオレは身を固くしていた。

奥からマリの母親が出て来た。若草色の紬の着物に黒地に矢の模様の帯の姿。旅館の女将が現れたようである。

遠目ではちらと見たが、マリに面影が重なる。色白で肌が年齢を感じさせない。玄関で一礼をすると、長い縁廊下を案内された。廊下のとまりの雪見障子から庭の低木が見える。そのための雪見障子ということか、いちいち造りが凝っている。

まあ、遠いところ、こんな田舎までお越しいただいて、と母親が正座して深々と頭を下げた。

オレも通り一遍の挨拶を返すが、マリは早くそういうの終わって、と言わんばかりの顔をしている。

母親が茶を出してくれたが、茶托に載った蓋付きの茶碗で日本茶を飲むのはいつぶりだろう。

口にしたことのない茶の味を褒めると、母親は麗しい笑顔をみせた。

今回の来訪の趣旨を伝えると、主人が夕方には戻りますので、その時にまた、と言われそれまで、マリの部屋で休んでてください、とようやく解放された。

廊下の奥の一角がマリの部屋だった。そこは洋室二間になっている。

「ああ……さすがにキンチョーしたわ……」オレは大きくため息をついた。

「ま、こういう時は仕方ないよね、かしこまってるふたり見てておかしかった……」

オレはラグマットの上に大の字になった。次は父親に会わなければならない。

「お母さん、美人だなぁ」

「若い頃、もっとキレーだったよ、そうだ、あとで写真見せてあげる」

「オマエの小さい頃のも見せろよ……」

「わかった……探しておく」

マリの幼い頃の話、両親の営みを覗き見たこと…あの母親がアナルセックスをしていた……その父親とも会わねばならぬ……マリの母親が美しいので、どうしてもそのことが頭に浮かんでしまう。

不謹慎、だが事実だった。

最初の緊張がとれて、ついウトウトしていた。マリもそっとしておいてくれたらしい。

目を開けると格子天井の四角が見えた。意味もなくその数を数えてみた。

マリはこの部屋でこの天井を見て眠り、育ったんだ、そう思うと、この部屋も愛しくなってくる。

窓の外には緑の生い茂る庭が広がっている。どういう配置なのか、まるでわからない。

壁の一角が造り付けの本棚になっていた。

ぬいぐるみなどの雑貨も置かれて少女の部屋という感じがする。

高校までマリはどんな本を読んでいたのか、昭和の時代の女流作家のタイトルが並んでいた。今、オレの年で読んでも楽しめるだろう恋愛モノ。随分ませた女子高生だったようだが、最近のマリはヨガやスピリチュアル系の本しか手にしていない。

文学少女だったのは知らなかった。オレの知らぬマリがドンドン見えてくる。

尿意をおぼえたが、どこにトイレがあるのか、ドアを開けても廊下が見えるばかりだ。

仕方なくケータイを取りマリに電話すると、すぐマリが出た。

「もしもし、あ、オレ、あのさ、トイレどこ…?」

マリは大声で笑った。家の中でケータイかけてきて、すぐ行くから待っててと言われたが、2~3分待たされた。平家建てなのに広さが想像できたが、早く用をたしたい。

トイレは今風にリフォームされて、そこだけは和の趣きとは異なっていた。

「なんでケータイかけてきたの?お母さんも笑ってた」

「部屋出ても人の気配ないし、おまえんち、わからないし」

「そうだね、無駄にここ広いからね、こっちくる?」

できればマリの部屋に戻りたかったが、そうもいかないだろう、マリについていくことにする。

最初に通されたのが客間であろう、今度は茶の間に連れて行かれた。一段階、親近を許された感じがした。

マリの母親はソファーに腰掛けていた。オレを見るなり顔をほころばせている。

「おもしろい方ですね、マリにケータイをかけてきて」

「すいません、うたた寝して目を覚ましたらマリがいなかったもので、大声で呼ぶのもどうかと思いまして」

「コーヒーを召し上がりますか?」

「はい、いただきます」

出てきたコーヒーは、また洒落たカップとソーサーに注がれていた。味もその辺の喫茶店も顔負けである。オレはまたその味を褒めた。

「あら、なんでもおいしいって、おっしゃってくれて…お口にあってなによりです」

母親には訛りは全くない。マリが紙に包まれたお菓子を持ってきてくれた。

はい、いただきます、オレはマリにも敬語を使ってしまった。マリと母親が声を上げて笑った。

「あのさ、そんなキンチョーしなくていいよ…ね、お母さん」

「そうですよ、ま、お会いしたばかりですから仕方ないよね、でもなんでもおっしゃってくださいね」

母親は優しい笑顔をしてくれた。玄関の開く音がした、様子を見に母親が立って行った。

「お父さん、帰って来たよ」マリが言う。マリのくれた菓子、ナニを食べたか覚えていないが、コーヒーで流し込んだ。

しばらくの間があった。何から話そう……。

やがて父親が現れた。オレは立ち上がり最敬礼をした。父親に掛けるように言われ座った。

ひと通りの挨拶と簡単な自己紹介を述べて、今のマリの身体状況を告げ、その非礼を詫びた。

黙って聞いていた父親の表情が変わらない。ナイスミドルとはこういうヒトをいうのだろう。若い頃は、きっと多くの女を泣かせたに違いない、そんなことを考えて父親の言葉を待った。

「で、マリと結婚を考えているということですね」

「はい、お嬢さんをいただきたく、今日あがらせていただきました」

こう言わなければ、と考えていた言葉を吐き出した。

「こういうことは、本人たちの思いに親がどうこう言っても仕方ありません。マリもいいオトナですから……あなたたちに任せます」

ありがとうございます、オレはソファーを外して床に頭を付いた。良かった、肩の荷が降りた。

早めの夕餉は、母親の手料理にマリも手伝って拵えられた。

父親とふたりで酒を酌み交わす。

仕事のこと、家族のこと、聞かれなかったことはないくらい尋ねられ、それに応じた。

好かれようとも思わなかったが、オレはマリの父親に好感を持った。年が同じなら、親しい友人になれる男だと思った。

マリの料理は、母親仕込みだと痛感した。素材を生かしたモノをシンプルに供してくる。

この家でマリは、こうして育てられたんだ、とヒシヒシと伝わった。

はい、これはね、魚屋さんが作ったものだけど、と見事な刺身の盛り合わせが染付けの大皿でテーブルに載せられた。母親は、おめでたい日になりましたね、と祝福してくれた。

刺身が実に旨かった。やっと味を楽しめるようになっている。ビールではじめて、それからは日本酒ばかりである。

席を立った父親が盃洗を持って戻ってきた。一度、料亭で使ったことがある。

儀式のように父親と盃を交わした。肩の荷がまたひとつ降りた。

何も笑わせようとはしていないが、オレの言葉に母親とマリはよく笑っていた。

チグハグなことを言っていたのかもしれない。

途中で、マリの姉夫婦もやって来た。マリのお姉さん、マリと違う雰囲気の美人だ。

父親似だろう。マリは母親の系統そのものである。

この年下の女性を、オレはこれからお姉さんと呼ぶことになる。なんとなくエロい。

翌朝は早くに目覚めた。隣にマリが背を向けて寝ている。マリの部屋に布団がふたつ並べて敷かれていた。

ああ、オレはここのヒトたちと家族になるのか……昨日、このオレを快くむかえてくれたヒトたち。そしてマリが妻となる。そう思いながら目を閉じてまた眠りについた。

マリから起こされ、朝食を取る。父親は既に出掛けていた。寝坊の詫びを母親にしたが、自分の家のように、好きにしてください、と言われた。

みんなここの品なんですよ、田舎料理で、というが、さんまの味醂干し、だし巻き卵、かまぼこ、青菜のお浸し、味噌汁はマリと同じ味だった。その全てが沁みた。起き抜けなのに、涙が出るような旨さだった。飛び切りの素材に、まごころが多く含まれている。

なにしてんの?マリに見咎められた。

「旨くて泣けてくる……」

「…そう……良かったね」

マリは口を窄めてオレを見ていた。

母親がいなくて良かった。朝メシを食べて感動してるなんて見られたくない。

その日はマリに案内され、まずこの家を周り、近所を歩き、車を使って市内を巡った。

マリの通った学校の全ても見た。その場、その場での思い出をマリはたっぷり語ってくれた。

夜はすき焼きを供された。まさに歓待とはこのことをいうのだろう。昨夜より父親とも打ち解けて話せた。

翌日、午後から夕方までマリは友達と会うという。一緒に来る?と聞かれたが、女同士の話もあるだろうし、いずれその友達とも会うことになるだろう。

マリのアルバムを持ってこさせて、暇つぶしをしていることにする。それと、近所のマッサージを聞いた。ずっと肩凝りなどなかったが、ここへ来て、まだ降りてない荷があるのか、重苦しさがある。マッサージはお母さんに聞いてみて、あたしはわかんない、とマリはそそくさと出かけてしまった。

マリの生まれた時からのアルバム、赤ちゃん、やがてこんな感じでマリも子を産むのだろう。

成長過程を追ってページを捲っていった。若い頃の母親は、女優のようだ。

小中高とマリがいないから、彼女を探すのに苦労したが、それもまた楽しかった。

3冊の卒業アルバムのほかに個人アルバムが10冊もある。マリが愛されて育てられた証だった。

ひと通り見て満足し、居間へいく。母親はソファーに座って花を活けていた。

「マリったら、置いてけぼりにして……わがままな子でごめんなさいね」

「いえ、久しぶりに友達に会うのに邪魔してもなんですから……マリのアルバムを見てました」

「おやさしいのね」

「あの、この近所にマッサージはありますか?」

「どうしたの?肩凝り?」

「ええ、……珍しく凝ってしまって」

「緊張したのね……おつかれさま」

「マッサージ屋さんね……なんなら私がして差し上げましょうか?」

「いえ…そんなお母さんにしてもらうわけにはいきません」

「あら、どうして?私はいつも主人を揉んでて、こうみえて上手なのよ、いいから遠慮せずこっちいらっしゃい」

母親は花を活け終えた花器を床の間に置いて、ソファーに座りオレを待っている。

甘えてみるか、少しだけ。ソファーに行くと横たわるように言われた。

うつ伏せになる。僧帽筋に母親の指がギュッと押し付けられた。おお、そこです、声が出る。

「ホント、だいぶ凝ってるわねぇ」

言葉通り、マリの母のマッサージはツボをついてきた。実によく揉んでくる。細い指先なのに力強く的確にコリを捉えてきた。身を任せているうち、あまりの心地良さに寝てしまった。

はっ、我に返り起き上がると、マリの母はやさしくオレを見ていた。

「どう?少しは楽になった?」

その額に汗が浮かんで、数本の髪が貼り付いている。オレは、その美しさに見蕩れてもいた。

「いや、すいません……気持ちよくて寝てしまいました」

「いいの…それだけ気持ち良かったなら、それより、私の肩だけ、ほんの少し押してくれない?お返しだと思って…」

「はい、うまくできるかどうか、わかりませんが、やらせていただきます」

ソファーに深く座るマリの母の後ろに回り、細い首の根元をそっと押した。ワンピースの肩口があいているので、肌に直接指が触れる。

ほんのり汗ばんでいる肌、うなじも艶めかしい。50はとうに越えているはずだが、ハリのあるみずみずしい肌である。

「もっと力いれていいのよ……」

「はい……」

「そう……そんな感じで……ああ、いい…いい気持ち……」

声が艶を帯びた気がする。ナニを考えてるんだオレは…色っぽい美人とはいえ、相手はマリのお母さんだぞ。般若心経。その一文字一文字を頭に浮かべる。何も見ず、何も感じない。

それを見透かされたかのように、マリの母は次の注文をしてきた。

「ね、肩凝りに効くとこ知ってる?ここ押してちょうだい」

ソファーに仰向けになり、両手を上げて脇の下を晒している。片手で脇の下の窪みを示してそこを押してという。剃り残しもない艶やかな場所。

一瞬戸惑う。しかしそこを押せというなら押してあげる。般若心経の文字が浮かんでこない。

脇の下の窪みを腕の付け根から押した。

「もっと真ん中……」

ジットリと汗ばんでいる肌、そこを押せば、マリの母は目を閉じてウットリ心地良い表情をする。

至近距離に成熟しきった女のあまりに妖艶な顔があった。

マリの母が目を閉じていることをいいことに、知られぬようにオレはそっと鼻を近づけてみた。ああ、女の香り……たまらない……たまらな過ぎる……思わず目を閉じてしまったが、目を開けると、マリの母に見られてしまった。

「私の匂い……嗅ぎたいの?」

やさしい目で見られてる。いたたまれない。

「……すいません」

「いいのよ、もっと嗅いで……」

予期せぬ言葉に耳を疑い生唾を飲んだ。

しかしもう制御不能。鼻を擦り付けてすんすんと匂いを吸い取る。

鼻先が脇の下を這い回り、マリの母は、あんあん、と声を上げた。

もう嗅ぐだけで治らない。禁を破って舌を出した。

母親の両手をオレの手で拘束した。成熟した女の脇の下、しょっぱいはずなのに、そこはあまりに甘美だった。

ソファーの背側の脇を舐めやすいように、母親が身体をずらしてくれた。こちらも舐めろというのなら舐めて差し上げます。もう何をしているか、分別はない。それはマリの母とて同じだろうが、この始末、どうなる……。

「マリが妊娠して、あなた溜まっているんでしょ……それは良くないわ……今日、この一度だけ、私がしてあげる…….これから家族になるから、あなたの男を確認しないと……」

何を言われたのかわからないが、もうこの女を抱きたい思いしかなかった。

完全に「女」の目をしている母親の唇を奪いにいく。

なんとそそる目なのか、こんな色っぽい目、若い女は絶対できない。

魂まで抜かれてしまうような口づけ、オレも負けじとむしゃぶりつくが、彼女はそれを嗜めるように包み返してくる。

オレのことを全て見透かされている。

その証拠にいつのまにか股間に手が伸びてやさしく様子をみられていた。

「もう……こんなにして……」

マリの母親が起き上がりワンピースを被り脱いだ。

「誰か来ませんか?」さすがに気になる。

「誰も来ない……夕方まで……待ってて、玄関に鍵かけてくる」

下着姿のまま立ち上がり歩いていく。その姿は30代の後半と言われれば信じられた。

倫理、道徳、信義、そのどれもに反することをしようとしている。

背徳などという言葉ではとても言い足りない。

マリの性への奔放さは、この母親から遺伝されたのだと思った。

今日、一度だけ……そう言っていた。そう、今日一度だけなんだ。

服を脱ぎ下着だけになる。彼女が笑みを浮かべて戻った。それにしても魅力的過ぎる。

何もない関係なら、この女と結ばれてもいいと思える。

「ホント、今だけ……それで忘れるのよ……」

そう念を押すと、母親は女へと切り替わった。

オレをソファーに引き寄せ寝かせて、首筋から舐めてきた。

一度きりの逢瀬の味を残すまいと念入りに舌が這っている。

オレのショーツに手がかかる。勃起が引っかかって脱がされるのを阻害している。腰を上げて脱ぐ。

禁断の甘い蜜を吸いたいと、勃起が張り裂けるほど膨張していた。

「……若いっていいわね…」

美味しそうな果物を食べるように彼女が口に咥えた。

亀頭の匂いを嗅いでは舐め、場所を変えて嗅いでは舐められた。

心から慈しんでくれてる、それがわかる。

彼女の愛に包まれてる。たとえそれが性的な行為だとしても、禁忌よりも愛の方が強くささってきた。

彼女も立ち上がり、下着を全て外した。

白い肌、スタイル、50過ぎには到底見えない。

ソファーに座って足を開いて招かれる。デジャブ、そうマリのものと瓜二つだ。遺伝子の精密さ、その技能の高さよ。

まずは乳房を味わいたい。マリより小ぶりだが、乳首の形状、色もほとんど同じだ。

初めてとは思えない親近感がわいて、マリにするように乳首を吸った。マリも赤子の頃、吸い付いたであろう、この乳首、口から離したくない。

「あらあら……赤ちゃんみたい……ああ……」

乳首を吸われながら、彼女はオレの勃起を扱いてくれる。

なんだろう……この掌の包み具合、そして穏やかな扱くスピード、絶妙過ぎてこれだけで果てそうになる。

「ダメ、良すぎて言ってしまう……」思わず言ってしまう。

イかれるのは、まだ少し早いと彼女は手を放した。

勃起を彼女に触れさせぬよう、オレは腰を落としてマリが産まれてきた場所に舌を落とした。

成熟の汁、甘美な蜜が溢れている。

オレは「女」をはじめて知ったような気がした。

これこそ「女」なんだ。人間のメスとして、そのフェロモンの胞子が全開で飛び散らかっている。

「う~ん、上手なのね……ああ…すごい」

彼女もオレの心の裡を察するように、受け止めて身を委ねてくれる。

いくら吸いとっても蜜は溢れてきた。脚を持って尻が見えるようにした。肛門までマリのモノをみているようだ。

だったら当然、ここが一番好きなはず。

アナルセックスしてた美人のお母さん、オレは貴女の娘の尻をちゃんと教育致しました。今その御本家を味わせていただきます。

お尻を上げたら、彼女が自分の指を咥えた。幼児が指を咥えるように、何かを期待し欲求を満たそうとしている仕草にみえる。

はじめての彼女の肛門なのに、マリの肛門へ向かうような心持ち。

鼻先を近づける。クンクンと大袈裟に鼻を鳴らし彼女の反応を見る。

指を咥えて、目を閉じて眉を顰めている。やはりここをされるのを待っている。

今度はちゃんと肛門の匂いを嗅いでみた。鼻先を襞の寄る中心にあてた。

「あ!」明確な反応をした。

マリの母、美しいヒトの尻は、この上なく切ない淫臭を漂わせている。

淫らで懐かしい香り……。この匂いを嗅いで、そのまま安らかに眠りにつきたい。

勃起は、これ以上大きくなれぬと限界まで膨らんでいる。

鼻先が肛門に触れるたび、彼女は肢体を細かく揺らした。なんと豊潤な感受性。

マリもこんな風にならないと。

舐めたらどうなるのか、舌で肛門の一枚一枚を丁寧に舐めていく。

彼女の全てが甘美で舌は厭きることを知らない。

「あっ……あっ……」と襞を一枚舐めるごとに回数分、声でカウントしてくれてる。

こんな美人なのに、お尻が大好きな素敵なヒト……マリの母親だという意識は、とうに消えてる。

舌を肛門の中に入れると、彼女の反応は感を極めた。

「……あーっダメぇぇ……」

鼻先をプッシーに押し付けながら、舌を尖らせて腸壁を味わう。ここもまた甘美、苦味など感じない。このヒトの全身を味わいたい……すべてが甘美過ぎる。

彼女の肛門はオレの舌をくるみこむようにまとわりつく。なんて素敵なんだ。

このまま、一晩中でも舌を挿れていたい。オレの鼻先はプッシーの蜜でびしょびしょになった。

勃起が催促している。早く潜り込みたいって……。

今日は二度と入れない特別なエリアに入れてやる、もうすぐだから待ってろ。

彼女は行為をしてから、できるだけ声を上げぬようにしている。恥じらいと自制心が、そうさせているのかも知れぬが、時折、洩れる嗚咽は、なんとも語り尽くせぬ色香がある。

彼女の肛門に指を入れてみる。熟練の肛門は、素直に指を受け入れた。

「ああん……そこっ……」

指の腹を回して、腸壁の随所を擦る。しっとりと湿り気のある、熱を帯びた淫らな粘膜。

指先の角度を変えるたび、彼女は肢体をくねらせた。

それでは参ります。体温40度を超えているのでは、と思うほどの勃起。

謹んで肛門にあてがい静々と押し進める。

オレの勃起熱より少し低めの湿った腸壁がやんわり包容してくる。

反応がないのか、と彼女を見たら、じっと動かないで顔を顰めている。

可愛い、思わず唇に吸い付く。歯を閉じていたが、すぐに舌を受け入れてくれた。

動かしますよ。ゆっくりゆっくり、二度と味わえぬ肛門を確かめるように突いていく。

動き出したら、フッフッと彼女が息を漏らした。

唇を合わせているから吐息はオレの鼻先にかかり、中に吸い込まれる。

口を離してその鼻先を彼女の口へ入れた。

まだ唾液の匂いを嗅いでいない。それも憶えておかなくては。

鼻先を彼女の舌がねっとり這い回ってくれた。オレの鼻の穴まで舌を入れてくれる。やはり唾の匂いまで甘い。もうオレの脳がそう認識している。

頭を離して、片足を持ち、足の裏の匂いを嗅ぐ。ほらここも甘かった。

指を捕まえて一本一本丁寧に舐めていく。なんて美味しんだ。足の小指なんてキュートでそのまま食べてしまいたい。

オレも長く持ちそうにない。

彼女を四つん這いにして後ろから突こう。

床に膝をつけて、上半身だけソファーに乗せてもらう。最善のスタイル。

素敵な尻、開いて、と命じたら両手で肛門を露出してくれた。

名残惜しいから、もう一度肛門を舐める。

マリのにソックリだけど、甘美な甘美な肛門…….舐めたら、ひっと彼女の手が外れてソファーの皮を掴もうとしてた。

ごめんなさい。貴女のお尻、素敵過ぎるんです。

この尻に今生の別れの思いで突く。

貴女の娘も素敵な「女」にします。なぜかそう思えた。

彼女の全身が魅力を発散させていた。ああー早くこの尻に出したい……。

「ああ………ハグッんん」彼女もオレの動きを受けている。

思いの丈をぶちまけて突いて、昂まりを解放した。

「イク……イキます」ドクドク脈打って精液が直腸に放出した。

充足感に満ちて、彼女に重なったが、射精と同時に照れ臭くなってしまった。

お義母さんも動けないでいる。

「大丈夫ですか?」声をかけた。

もう女としてではなく、マリの母親になったが、まだ全裸で尻を向けられたままだ。

ようやく、お義母さんが身体を起こした。

「……ありがとう……あなたのこと、よくわかったわ」

第一声に言われた言葉、何がわかったのだろう……アナル好きなこと?

性的な行為でも、それは慈愛に満ちていた。

「先にシャワー浴びてきます」

服を持って浴室へ向かった。

マリの母、お義母さん……すごい魅力的だった。

今までの女の中でも一番だろう。

しかしそのことは金輪際、心の奥深くに閉じ込めて封印する。

シャワーを使い居間に戻ると、お義母さんは身繕いも済ませていた。

テーブルに赤い色の飲み物があり、それを入れたガラスポットもある。

「さ、喉乾いたでしょ、これね紫蘇の葉のジュース、私が漬けたの、飲んでみて」

綺麗な赤、ワインよりは薄い自然の赤色。その香りは甘くてほんのり紫蘇の香もする。氷が2つ浮かべてある。

はじめて飲む。甘いがさっぱりしている。美味い。

「夏はね、毎年これを作ってマリに飲ませてたのよ、あの子も好きなの」

「そうですか、焼酎に割ったら良さそうですね」

「そう、主人はそうする時もあるわ……ちょっと私もお風呂に行ってくるから、飲んでてね」

オレはテレビのリモコンを取りスイッチを入れて、チャンネルを飛ばした。午後の情報番組で止めて見る。

マリのお義母さんは、何事もなかったように接してくれた。

ほんの数分前のことを消去してくれている。安堵した。少しでも気配が見えたら、いたたまれない。ソファーの敷物の乱れも完璧に戻ってある。さすがマリのお義母さん。

しかし、あの言葉の意味が解せない。ありがとう、そしてオレのことがわかったという意味。本人に聞くのは、憚れる。

人間を理解するには、まだまだ研鑽を積んでいかないとならないな。

テレビでは沖縄の梅雨明けを宣言したといっている。また夏がくる。

マリの部屋に戻ると、ちょうどケータイが鳴った。

あと1時間後に今からいうところに向かえにきて欲しいという。

マリの机にメモ用紙になるモノを探して控えた。じゃよろしくね、と電話は切られた。ケータイとメモした紙を持って居間へいく。

やがてお義母さんも戻ってきた。

マリのことを伝えると、今夜は外で夕食の予定だから、私も乗っていくという。時間もちょうどいいわ、なら着替えておかないとね、とひとりごちていた。

お義父さんは、と聞くと今日は会合があるから、私たちだけなのよ、だから手抜きで外で食べるの、と教えてくれた。

あと1時間、秘密の行為をしたおかげで、もうこの人とふたりきりでも、なにも気づまることはなかった。本当の母ではない。もちろん恋人でもない。マリの母であることを超えて家族になったような不思議な感覚が芽生えている。それは、一度抱いた女への所有欲とも違う、連帯感とか安心感に似た感情だった。

お義母さんが着替えをしてきた。ひっつめていた髪を解いて緩やかにウェーブをきかせている。

淡い紫の肩口ギリギリのシャツに濃紺のパンツを合わせている。思わず見惚れてしまう出来映えのいい女だ。知らぬ女なら街で間違いなく目で追ってしまうだろう。

オレはさっきこの女を……。

「さあ、そろそろ行きましょうか」

ヒールを履いて完成したマダムと共にマリの指定場所へ向かった。

車に乗ると、ふんわり上質な香水が漂う。

「大きな車ね、どこの車なの?」

「イタリアのマセラティって車です」

「なるほど、この辺の色使いがイタリアぽいわね」

お義母さんがダッシュボードの辺りを撫でている。

「触り心地もいいわ、で、マリはどこに来いっていってるの?」

マリのメモを渡すと、ああ、ここなら予約した店から近いので店に来てもらったらいいという。私がマリに電話するわ、とスマートフォンを使っていた。

お義母さんの道案内で目的地に着いた。言われた駐車場に車を止めてその店へ歩く。

ほんのひと角曲がってお義母さんが歩をとめた。

「お寿司にしたからね、地物がメインのマリが中学の時から連れて来たお店なの」

いい佇まいの寿司屋だ。間違いなく期待できる。

お義母さんに続いて暖簾をくぐる。いらっしゃいませ、あ、毎度どうも。大将の声が職人気質を現している。店内は誰もいない。

カウンターだけの小さな店内、氷式の昔の冷蔵庫もあり、つけ場の整然さが仕事の出来を示している。へえーこんないい店あるんだ、東京の銀座や赤坂の裏路地にひっそりと佇む名店といった趣きである。

「この人ね、マリの婚約者」

いきなり紹介された。婚約者、はじめてそう呼ばれる。まだ呼ばれることに慣れていない。

「へえーマリちゃんの……そうですか、そりゃどうも」

その矢先に扉が開いてマリが到着した。

「こんばんは、お邪魔します」

「お、マリちゃん、いらっしゃい。久しぶりだけど、またすっかりキレーになって、あ、この度はおめでたいこって」大将の簡潔な口調がいい。

「ありがとうございます。ご無沙汰しております」

「あら、来たわね、私たちも今着いたのよ」

日本酒の種類が多い。おすすめは日本酒ということだろう。お義母さんに任せる。

「どうだった?ふたりで仲良くしてた?」

マリが聞いてくる。

「あのね、マッサージ屋さんわからなくて、私が揉んであげたの」

オレへの質問にお義母さんが助け舟を出してくれた。さすがだ。

「うわーマジで、サービスいいわ、ムコ殿だねー」

「気持ち良かった?」

「ああ、お義母さん、上手だった、おまえのアルバム、全部読破した」

「アルバムって読破するものなの?」

「そうだよ……写真と写真のあいだの余白に意味がある」

「もう酔ってんの?」

お義母さんが笑って会話を聞いている。

備前の徳利が置かれた。盃も3口。

「あの、車はどうしたらいいですか」

「代行頼んでもタクシー呼んでもいいから、飲みましょう」

そうだ、地方には代行という運転サービスもあった。

カウンターには、頃合いを見計らって絶妙な間で、ひと手間加えられた寿司がおかれる。

そのどれもが実に良い。築地経由のモノとは一線を画していた。

男性のふたり組が来店して、店は埋まってしまった。このキャパで商売になるのもすごい。

「久しぶりにここ来た。マジ美味しいね」マリの言葉に大将がニコニコしている。

「うん、ホントに旨い、おまえ、こんなウマイもん中学の時から食ってたのか?」

「うーん、そう中学の時に連れてきてもらってたね、お姉もお父さんも寿司ならここって、ほかの店行かないから」

「そうね、あの人はここって店決めたら、その店なくなるまで変えないからね」

「ウチは、まだ当分なくなりませんから」話を聞いていた大将が合いの手を入れた。

みんな笑い声を上げた。同じことに笑う、いいものだ。

徳利が別の器に数回変わった。その都度、酒の中身も変わっている。そのどれもが素晴らしい。

「これでひと通りお出し致しました。マリちゃん…なにか食べたいモノある?」

大将が挨拶した。

「うーん……海老!」

確かに旨い巻き海老だった。マリは海老蟹に目がない。ほどなく車海老が3つ、それぞれの前に置かれた。

「これは、わたしからのほんの気持ちです。お祝いの」

「あら、大将……ありがとうございます」お義母さんに倣ってオレも頭を下げた。

「大将、ありがとうございます。ね、また来ようね、ここ」

「そうだね、マリんち来たら、ここって決めよう」オレもぜひ再訪したい店になった。

お義母さんがお手洗いに行く。

「なあ、ここの支払いオレがしてもいいかな、3日も世話になったし」

「今夜の夕飯だったから、別に気にすることないよ、甘えておこ」

「そうか……ならいいけど」変に気を回さぬ方がいいかもしれない。

大将がお義母さんの戻りに合わせて会計を差し出す。チラと見た金額は東京とさほど変わりない額だった。だが内容から見れば納得いく値である。

ありがとうございました。マリちゃん、ダンナさんとまたお越しを。大将に見送られ店を出た。

外は涼しく、満月にあと一歩という月が出ている。

「ご馳走さまでした。美味しく頂きました」

「よかった。気に入ってくれてありがとう」

「ね、もう一杯飲んで行こうよ、日本酒ばっかだったから、口直しでさ」

マリの提案に同意だが、お義母さんの言葉を待つ。

「そうね、気分いいし、食後酒でも飲みましょう」

他愛ない親娘の会話のやり取りを聞くのは飽きない。

少し歩いたところのオーセンティックなバーで数杯ずつカクテルを飲み、車を呼んでもらった。気分の良い夜だ。

タクシーに乗ってしばらくして、あっ車、と思い出した。

「えっ、今気づいたの?」

「ああ、車で来てたんだ」

お義母さんが吹き出していたが、大丈夫、止めたとこ、ウチの駐車場だから、防犯カメラもあるし、と言ってくれて安心した。

「たまぁに、ド天然だすよねー」

「美味いもん食って、いい酒飲んで、気分良くなってた」

「マリちゃん、かわいい人見つけたわね」

「うーん……たまにマジあきれるボケするし、気分良くなると天まで昇っちゃうんだよね」

オレはタクシーの隅に小さくなった。

翌日、お義父さんが車まで送ってくれた。荷物もまとめ、お義母さんへの挨拶も終えた。

マリのことよろしくお願い申し上げます。と最敬礼されて心から恐縮した。

駐車場に着くと、お義父さんも車を降りた。

「マセラティ…レバァンテいい車だ。いくらした」

「1000ちょっとです」

「ウソー、あたしに言ってた金額と全然違うけど」

「オプション付けたりいろいろかけると……」

「鍵貸して」お義父さんが興味あるようだ。

運転席に座ってすぐエンジンをかけた。

車をよく知っている。モードを変えたエンジン音が聞こえた。

しばらくあちこち覗いて、降りて来た。

「車道楽もいい加減にしておかないとね」

「はい」

お義父さんは、国産のガソリンいらずの車に乗っている。

欲しいフェラーリには手が届かず、イタリア女のようにセクシーなマセラティに憧れてやっと手にした一台。次は国産のRVにしようと思う。

「それでは本当にお世話になりました。ありがとうございました」

「うん、じゃよろしく頼むよ」

バックミラーにお義父さんの見送る姿が映っていた。

とりあえず、またハードルを一つ超えた感があった。

「ウチのお義父さんもね、つい最近まで車大好きだったんだよ。2人しか乗れない車買って来て、お母さんから怒られてたし」

「そうなんだ……ところで、おまえのとこって、どこか外国の血って入ってるの?」

「なんで?」

「いや、お義母さん、お姉さん、まぁオマエにしても、美人揃ってるし」

オレは思っていたことをマリに聞いてみた。

「なにその……まぁって……どうせ、お母さんの方がキレーと思ったんでしょ」

「いや、そこはケンソンしなきゃ……」

「その辺ね、よくわかんない……むかしクジラ取りに来たノルウェーの人となんかあったとか聞いたことあるけど、誰がどうしたのか……少なくとも、あたしのおじいちゃん、おばあちゃんは純粋な日本人だよ」

「そうか……あ、それと…次、病院行く時、オレも一緒行くわ」

「……何しに?まだ何もないよ」

「担当医に挨拶して顔見に行く」

「美人の女医さんだよ」

「じゃ上等な菓子折り持っていく」

マリが笑いころげた。

マリのお義母さん……実に古風で奥ゆかしいが、感性が日本人離れしていると、昨日のことをよぎらせていたが、この秘密は墓まで抱えていく。

途中のパーキングエリアに車を入れた。マリと共に飲み物を選び、トイレを済ませて戻る。

「なあ、見せたいモノあるんだ。すごい貴重なモノ」

「………?」

オレはバックからそれを取り出しマリに見せた。

一枚の写真。マリが鉄棒を掴んで満面の笑みを浮かべてる。

小学校の高学年であろう。少女の気配を残しつつオトナへと背伸びしてる様子が見て取れる。

「あっ、懐かしい……それ」

「オレの宝物にする。額に入れて飾る」

「アルバムから剥がしてきたんだ」

「ああ、この一枚がどうしても欲しくなった」

「そっか……」

「あのさ……オレ…マリがずっとこの笑顔でいられるようにする」

「うん……」

マリが寄りかかってきた。

「おい、運転できねーよ」

「じゃしなきゃいい、運転なんてしなくていい……」

人目を憚らず、ふたりは唇を重ねた。

-終わり-

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(2020年05月28日)

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