【現在31,493話】月間280万人が訪れるアダルト体験談・官能小説投稿サイトです。投稿した体験談や小説が高評価を受けると広告が非表示になります。エチケンにあなたの体験や妄想を投稿してみませんか?

Tips(広告を非表示にする方法)

投稿特典を3倍に変更:2024/01/30
体験談を投稿して一定の評価を獲得すると広告が非表示になります。
50Pt、100Pt達成で+15日間。以後100Pt増加のたびに1ヶ月間延長。500Ptと1,000Pt達成時にはさらに追加で+2ヶ月延長されます。

詳細はこちらをご確認ください。


寄付無料登録する方法もあります。

今日の人気記事(他サイト)

体験談・小説メニュー

今日の人気記事(他サイト)

体験談(約 17 分で読了)

【高評価】初めてのデリヘルで部屋に来た嬢が親友の姉だった(最終話)(1/2ページ目)

投稿:2022-06-07 18:43:32

人 が閲覧中

あとで読む

この話のシリーズ一覧

本文の設定

本文の文字の太さ

本文の文字色

文字サイズ

人物名の置き換え(複数指定可:空白かコンマ区切り)

使用例:登場人物を自分の名前と好きな人の名前にする

置き換えの例1:僕,おれ,直樹→田中

置き換えの例2:沙織,さおり→美佳

置き換えの例3:Aさん→直子(英小文字は不可)

置き換える名前は複数指定できます。空白かコンマで区切ってください

※英字は半角で入力すること

※2022年04月19日:不具合を修正しました。

リセット
置き換え

本文(1/2ページ目)

土方 煉◆IkWDNHA
最初の話

「おーい、悠太!久しぶりだな!」俺は社会人になってから3年ぶりに地元に帰って来た。俺が帰省するという噂を嗅ぎ付けて、親友の大悟が駅の改札まで迎えに来てくれていた。「おお、久しぶり!元気だった?」「元気元気!てかお前都会に行っちまって何かカッコ良くなってんね?雰囲気とか」…

前回の話

3「ちょっと出てくる」玄関で腰を下ろしスニーカーの紐を結びながら母に言った。「えぇ!?夕飯どうするのよ?」「置いといて。帰ったら食べるよ」「もう!帰った日ぐらいゆっくり夕食食べなさいよ!…遅かったら先寝てるからね。鍵はポストに入れとくから」「無用心だな。それなら今もらっとくよ」「あら、そう?なら渡し…

最終話

貝殻公園で美幸とセックスして以来、俺は頻繁に彼女と会う様になった。あの日初めてお互いの気持ちを声に出して確め合ったのだ。当然っちゃ当然ではあるだろう。

美幸と会っても、特に何かしたり予定を立ててどこかへ出掛けるといういう事はなかった。ただ俺達は顔を合わせるだけ。大半は美幸の車の中で他愛のない話をしたり、時には軽く夕食を食べに行ったりもした。そして暇さえあれば、まるで盛りの動物の様に俺達はセックスをした。

セックスをする場所も様々で、美幸の車やホテルではもちろん、時には月極駐車場の誰が所有するか分からないミニバンの後ろでもヤッた。セックスをしない日は美幸に口で抜いてもらったり、逆に俺が指でイかせるだけの日もあった。

互いの愛情を確める様に丁寧なセックスの日もあれば、ただ自分が絶頂を迎える事だけを考えた自己中心的なセックスの日もあった。それは俺だけではなく美幸もだ。

俺の場合は美幸がミニスカートを穿いて少し綺麗め服装の日などに、場所はどこであろうがムラムラし次第、美幸のスカートをまくり上げてバックで挿入し、気が済むまで突き上げて射精する。

反対に美幸の時は俺が仰向けに寝転がり美幸が上に乗る。そして騎乗位で彼女が一人激しく腰を振りながら乱れ、絶頂を迎える。

おかげさまで俺は自慰行為をしなくて済んだ。美幸はどうか知らないが多分しなくて済んでいると思う。こんなセフレ関係の様な日々がしばらく続いたが、俺は美幸の身体に全く飽きなかった。

感覚で言えば、自分の好きな(性的に見てる)女優やアイドルといつでもセックスができる様な感じだ。だから常に新鮮だったし、どんなプレイでも萎える事は無かった。

そして美幸とそんな関係になって1ヶ月半が経った時、いつも通り美幸の車の中で何気ない話をしていると美幸は言った。

「今更だけど悠ちゃんは結婚願望とかあるの?」

「結婚願望かぁ…どうだろ。相手によるかな」

「そんなの当たり前よ。誰も好きじゃない相手と結婚しなきゃだめなんだったらしないわよ」

「いちいち細かいなあ…けどまぁ美幸ちゃんが相手なら結婚してもいいよ」

「すごい上からね…けど一応ありがとう」と美幸はひきつりながら笑った。

「それより彼氏とどうなった?何か話した?」

「少しだけね。だけど聞く耳持ってないし全然進展しなかった」

「何て言ったの?」

「ん?そのままよ。正樹が就職しないでプラプラしてるから生活費が足りなくて私は1年ぐらいデリで働いた。それに正樹には悪いけどデリで出会ったお客さんと浮気もしてしまった…って」

「何かあれだな、すげーストレートに言うんだな」

「だって本当の事でしょ?」

「まぁそうだけど…で?彼氏の反応は?」

俺が聞くと美幸は溜め息混じりで口をへの字に曲げながら言った。

「いきなり何を言い出すかと思えば。君に限ってそれはありえない。そんなに俺と別れたいのか?アルバイトも立派な仕事だろう?って」

「もう救いようがないなそれ」

「別にアルバイトが悪いって言ってるんじゃないのよ?アルバイトでも生活ができるぐらいの収入があればいいの。けど正樹は週2ぐらいしかアルバイトも入れてないし。稼ぎもせいぜい月数万よ?それで結婚するってどうかしてるわよ」

「けど俺と再会するまでは結婚しようとしてたんでしょ?」

「そう、かなりだらしないけど内面は決して悪い人じゃないしね。彼が就職しようって気になるまで私が一時的に生活を成り立たせたらいいかって思ってたし」

「だけど結婚してもし美幸ちゃんが子供を授かれば一定期間働けなくなるもんね。そうなったら終わりじゃん」

「そうよ。正樹はその辺の事全然何も考えてないのよ。想像力がないっていうか、計画性がない」

「ふーん。けど良かったな!美幸ちゃんはもう俺のもんだし」俺はどや顔で言った。

「何よそのどや顔。言っとくけど今悠ちゃんニートだからね?アルバイトの正樹の方がマシよ。それに転職活動どうなのよ?」と美幸は笑った。

「うるせーな、俺はちゃんと就職するって!それにもう一社からは内定出てるし。後は俺の返事待ち」

「そうなの!?良かったじゃん。どんな仕事?」

「汁男優」

「…………」

「ごめん嘘。運送業」俺は誰もが知る大手運送会社の名前を言った。

「へぇー!すごいじゃん!キツそうだけど悠ちゃんならまだ若いからきっと大丈夫よ」

「汁男優は?」

「……汁汁うるさいわね。あんたさっきから何言ってんの?」美幸は呆れながら言った。

「悠ちゃんの精子は私のだから。他の女にかけるとかありえない……どう?これで満足かしら?」

「え、何?別にそんな返事待ってなかったけど。ただ冗談で言っただけだし…美幸ちゃんそんな風に思ってたの?」俺はニヤニヤしながら美幸を見た。

すると眼前に美幸の手が伸びてきて、美幸の綺麗な指は俺の鼻に鼻フックをした。

「っ…!痛った!」

「あ、ネイルしてたんだった。へへ」

「へへっじゃねぇよ!そんなギラギラの爪を鼻に入れたら血出るだろ!」

「男のくせにピーピーうるさいわね。…ほらちゅーっ…」

俺は鼻を押さえながら美幸とキスをした。相変わらず美幸の唇は柔らかくて瑞々しかった。それはリップクリームを塗りたくった様な後味の悪い下品な感触ではなく、まるで彼女の美しさと連動している様な自然な瑞々しさだった。

これは俺が美幸とこういう関係になって気付いた、いわゆる彼女の癖みたいなものだが、美幸はディープキスをすると必ずキスをしながら俺の勃起を確める様に股間をまさぐる。そのまさぐり方も大方同じで、勃起した性器の竿の部分を手のひらで掬い上げる様にまさぐった。

「ふふふ、相変わらず元気なおちんちんねっ。ほら、ズボン脱いで」

俺は言われるがまま、助手席でズボンとパンツを踝まで下ろした。お尻が直にシートに触れ、お尻の割れ目が少し痒くなった。

「もう少し座席下げれる?」

俺は座席の底にあるレバーを引き上げ、ガチャンとなるまで後ろに座席を下げた。美幸はそれを確認すると運転席から助手席に移り、広げた俺の足に挟まれる様に座った。

見下ろすと、俺と彼女の間に佇む反り上がった性器で美幸の顔のセンターラインが隠れた。美幸は目の前にある竿部分をパッチリ二重の眼球をゆっくりと上下左右に動かして、俺の性器を隅々まで観察した。そして剥き出しになった亀頭に鼻を当てて深呼吸した。

「うーん…やっぱちょっと臭うわ」そう言って美幸は亀頭をフワッと握ると、ゆっくりと上下に性器をしごき始めた。

「いつもいつも風呂上がりじゃねぇんだからしかたねーだろ」

「私は悠ちゃんのこのおちんちん臭が好きよ。嗅ぐと余計に可愛いく思える」

美幸は徐々に我慢汁で滑りが良くなった俺の性器を一段と早く上下にしごいた。そして頃合いをみて亀頭を瑞々しい唇で覆うように性器を咥えた。美幸の口内はねっとりとして温かく感じたが、舌先はほんのり冷たかった。

「んっ…んんっ…」車内には潤滑剤代わりになった唾液と性器が擦れる摩擦音が鳴り響く。必死に俺の性器を舐め回す美幸の鼻息が俺をさらに興奮させた。ローテーションって訳ではなかったが、どうやら今回は美幸は俺に奉仕してくれるみたいだ。だから俺は素直に彼女の好意に甘える事にした。

そして数分間、美幸はありったけの奉仕をしてくれた。まるで今夜が今生の別れみたいに。風俗とかだともったいないからもう少し我慢して記憶を脳裏に留めようとするのだが、今は違う。言い方は悪いが美幸にはいつでも抜いてもらえるから俺は特段射精を我慢する事なく絶頂を近く感じた。

「ああ、美幸ちゃん…もうイクッ…!」

「んんん、んん!」

美幸は咥えながら首を縦に振った。それから顔をスピーディーに上下に振りながら射精へと導いた。

「……っ!!…はぁ!」

俺はいつも通り馬鹿みたいな精液の量を美幸の口内で盛大に射精した。美幸もいつも通りこれを口で受け止めて、にやりと笑いながら口を開いて俺に見せた。そこには美幸の舌が隠れるほど大量でかつ、濃い精液が美幸の口内を支配していた。

ゴクンッと喉を鳴らしながら精液を飲み込んで美幸は言った。

「前から思ってたけど、悠ちゃんて精子濃いよね。飲んだだけで妊娠しちゃいそう」美幸は笑った。

「そうなの?自分では分からないな」

俺はあえて聞かない様にしていた事を聞いてみた。

「てかさ、その彼氏の正樹?とのセックスはどうなんだよ?奴の精子は薄いのか?」言ってはみたたものの、少し複雑な気分になった。だからなるべく冗談ぽく、茶化しながら聞いた。

「うーん、どうだろ?最近してないし。そーいえば悠ちゃんと会ってから全くしてないわ」

俺は本当に嬉しかった。が同時に美幸の淫乱具合を知っている俺には少し嘘臭くも感じた。

「本当かよ、別にいいんだよ?まだ正式に破局した訳じゃないんだから俺に気使わなくて…ましてや同棲してるんだったらある程度の頻度で営みはあるだろ」

美幸は顔の前で手をぶんぶんと横に振りながら否定した。

「いや、ほんとだから!もし今ヤれば悠ちゃんのサイズになっているから浮気してるのバレちゃう。それぐらい何にもないの」

「何でそうなったの?向こうは納得してんのかよ」

「納得はしてない…と思う。だけどその辺女性はデリケートなのよ。少しでも気持ちにつっかえがあると相手に対する気持ちが一気に減少するの」

俺が言える立場ではないが、正樹が気の毒に思えた。こんなに美しい彼女と同棲しててセックスレスなんて。俺なら半狂乱になりながらレイプしてしまうかもしれない。

「美幸ちゃんの気持ちがそうなったのなら仕方ないね。けど彼の方にも先の人生があるんだし、なるべく早く話つけた方がいいよ。どんな結果になろうと俺は美幸ちゃんの事待ってるから」

「何よいきなり。悠ちゃんのくせに良い事言っちゃって…とか言いつつ、どうせもう私が彼女になるって確信してんでしょ?気が変わった!って言ったらどうすんのよ」

「そんなのありえないだろ」

「ははは!すごい自信ね」と美幸はお腹を押さえて笑った。

「はー、やっぱ悠ちゃん可愛いわっ。とりあえず今夜もうちに帰ったらもう一度正樹に話してみる。それで今回も聞く耳持たないようだったらもう家出ちゃうから」

「分かった。何かあったら連絡してくれよ、いつでも行くから」

「ええ、そうするわ。悠ちゃんはほんとに頼りになるね。…ニートのくせに……ぷぷっ!」

「おいっ!!」

「あはは!ごめんごめん。まぁ大丈夫だと思うけどもし本当に何かあったら連絡するね」

そして美幸はいつも通り俺を実家まで送ってくれた。それにいつも通り、バイバイのキスもした。

「じゃあね」

「おう…あ、美幸ちゃん?」

「ん?なぁに?」

「好きだよ」

俺はなるべくフランクに笑いながら言った。完全に舞い上がっていた。

「うえ、きもっ」

「はぁ!?」

「じゃあね~」

美幸は爆笑しながらその場を後にした。期待していた返事をもらえなかった事に少し肩を落としたが、もう美幸は自分の手中にあると思えば、これから先の生活が楽しみでしかたなかった。

その日は美幸と別れてから寝床に入るまでずっと2人で過ごす未来を妄想していた。唯一引っ掛かる事は美幸と結婚すれば大悟が弟になるという事だった。幼馴染みでずっと一緒にいた大悟が突然弟になるのは変な気分であったが、それもまたある種の楽しみではあった。

(あいつの事だから、俺は弟だしお年玉くれ!とか言ってきそうだな)

想像すると少し笑えた。それに結婚の挨拶をしたら大悟の親父はどんな反応するんだろう?

「はい?悠太と美幸が結婚…?結婚…結婚ねぇ…ええ~っ!?」

(って感じかな?さすがに正樹の様に正面から反対はされないだろう)

あれやこれやと妄想していたらいつの間にか寝てしまっていて、外で鳴くスズメの声で目が覚めた。まだ布団から出たくはなかったが、生活リズムが狂うとしんどいから無理矢理身体を起こした。そして枕元に置いていたスマホを手に取り、美幸から連絡がきていないか確認した。

しかし、ここ最近の流れだと必ず来ているはずのメッセージが来ていなかった。あれ?っと美幸とのメッセージを確認すると最後にやり取りをしたメッセージは昨日美幸が迎えに来た時に送ってきた「ーついたよー」という文で止まっていた。

(何だ、俺で止まってんじゃん)

俺はそのまま画面のキーボードをささっとタップして「ーおはよう。昨日どうだった?ー」とメッセージを入れた。どちらかというと美幸はマメに連絡を寄越す方ではなかったので、俺は返事を気長に待つ事にした。けれど14時を過ぎても一向に美幸から返信はなかった。

この辺りで俺はさすがに心配になり始めた。いつもなら必ず返信が来ている時間だ。なのにメッセージには既読すら付いていなかったのだ。

一度大悟に連絡をしてみようと思ったが、美幸は今実家にはおらず市内で同棲している。だから大悟に聞いたところで結果は変わらなかった。

一旦落ち着こうとスマホをテーブルに置いて、一息付いた時に着信があった。転職活動中であった為、どうせどこかの企業だろうとスマホの画面を確認すると、着信の相手は大悟だった。

(遊びの誘いか?ってか今日は日曜じゃないぞ?あいつ仕事は?)

あれこれ考えを巡らせてはみたものの何も思いつかなかった。そしてスマホを手に取り画面をスワイプした。

「もしもし?」

「もしもし!?悠太?今大丈夫か!?」

大悟は少し興奮状態である様だった。競馬ですげー大穴を当てたか、宝くじでも当たったのかと思った。

「大丈夫だよ。どうした?」

「姉ちゃんがっ…!姉ちゃんが病院に運ばれた…」

まさに血の気を引くとはこの事だと感じた。背筋の体温がサーッと低くなる。驚きすぎて声も出なかった。額からは脂汗が吹き出した、

「おい!悠太!?聞こえてるか?もしもーし!」

「えっ…ああ、聞こえてる。美幸ちゃんは大丈夫なのか?」

「命に別状はないらしいからそれは大丈夫だ。ただ頭を打ってるから精密検査は必要らしい。今ちょうど検査中だ」

ドラマや映画で何度も耳にした台詞だが、命に別状はない。という言葉がこれほど人を安堵させるとは思わなかった。俺はスマホを耳に当てたまま、その場で膝から崩れ落ちた。

「何でそんな事になった?」

俺には思い当たる節があった。だけど念のため大悟に聞いた。

「俺もまだ本人と直接話してないからざっくりしか知らないけど…ほら、前に姉ちゃんは婚約者と同棲してるって言ったろ?どうやら昨晩その婚約者とかなりでかい口論になったらしいんだわ。それでカッとなった野郎が姉ちゃんを突き飛ばしたか何かで頭を強く打ったみたい」

それを聞いた俺は正直、だろうな。と思った。こうなる事はある程度想像はできた。だから俺も婚約者の元へ行くと美幸に提案をした。だが美幸は話が余計にこじれるからそれはやめてと言った。それでも行くべきだったと後悔した。

「怪我とかは大丈夫なのか?」

「それもまだ面会してないから分からねぇ。とにかく親父と母ちゃんは病院にいるみてーだし、俺も今向かってる最中なんだ」

「そっか。それよりその婚約者は何してんだよ」

「それが行方が分からないらしい。ただそいつが救急車を呼んだっぽいんだけど、救急車が到着した頃には誰もいなかったらしい」

「何だよそれ!」

「一応警察にも話がいってるみたいだし姉ちゃんが回復次第取り調べとかあるんじゃねぇかな?親父は傷害事件だって怒り狂ってたけど」

俺は大悟の親父が怒り狂っている様子を容易に想像できた。

「まぁ、詳しい話は病院についたら親父に聞いてみるよ。多分何日か入院する事になるから悠太も時間がある時見舞いでもしてやってくれ。姉ちゃんも喜ぶだろうし」

「今から行くよ…」

「えっ?お前今来たってー…!」

俺は電話を切ってそのまま玄関へ向かって家を出た。部屋着のままだったが、そんな事かまいやしない。ガレージに置いてある原付に乗るとアクセルをフルスロットルで病院へと向かった。

幸いにも実家から美幸の住む市内までの間には病院の数は限られている。俺は一番に最初に思い浮かんだ総合病院へと向かった。病床に空きがないとかでなければほぼ確定でそこだと思ったし、もし違えば大悟の聞けばいいやぐらいに思っていた。

病院に着くと正面玄関にあるパーキングに大悟のBMが停まっていた。どうやら当たりのようだ。スマホを見ると走行中に大悟からメッセージを受信しており、そこには病院名と病室の部屋番号が記載されていた。

美幸の病室は503号室で、院内マップを確認するとそこは個室だった。ここでようやく自分が手ぶらで来た事に気が付く。売店で何か甘いものでも買って行こうかと一瞬足を止めたが、どうやら今の俺にはそんな気持ちの余裕は無かった。

エレベーターで5階へ向かい、等間隔で並ぶ病室の札を見て歩く。506号室を通り過ぎた辺りで眼前の503号室から一人のナースが出てきた。そのナースは病室に向かう俺を見つけると、ニコッと笑い会釈した。

そのナースには八つ当たりの様で悪いが、俺は心底腹が立った。人がこんなにも不安な気持ちで病室へ向かっているのになぜ笑うんだ?美幸がなぜ入院しているか知っているだろうに。深い意味は無いであろうその笑顔に俺は不愉快さを覚えた。

病室のドアの前で耳を澄ます。中からは話し声が聞こえる。多分大悟の親父の声だ。内容は聞き取れなかったが、怒り狂っているとかではなさそうだ。そして俺はノックをするのも忘れてスーッとスライドドアを引いた。

「どもっ」

大悟の話通り、部屋の中には一家が全員いた。大悟は俺に気が付くと何も言わず手だけ上げた。大悟の母ちゃんは「悠太くん、わざわざありがとね」と頭を下げた。親父さんは「おう」とだけ言った。美幸はこちらに目を向けず窓の外を見ていた。

俺が現れた事で何かショックを受けているのかもしれない。だから俺はあえて自分から美幸に声を掛ける事はせず、彼女から話し掛けて来るまで待つ事にした。

「悠太くんほらっ、リンゴ!食べな!」そう言って大悟の母ちゃんは皿に並べたリンゴを手渡した。

「あ、すんません…いただきます」

部屋には俺がリンゴを咀嚼する音だけが響いた。大悟は深刻な顔で腕を組んでベッドを睨みつけているし、親父さんは落ち着かない様子でソワソワしていた。大悟の母ちゃんも落ち着かない様でせわしなくただでさえ整理されている美幸のベッドの周りを整頓していた。

正直顔を出すタイミングを間違えたと思った。美幸はずっと窓の外に顔を向けたままこちらを見ようとしないし、何か家族会議をしていた最中だったのかもしれない。俺はバツが悪くなり、部屋を出ようとした。そこで初めて美幸に声を掛けた。

「大変だったな。それより大きな怪我してなくて本当に良かったよ。またすぐ来るから何か欲しい物とかあれば言ってくれよな」

俺が言い終わると美幸はこちらへ顔を向けた。そして困惑したように言った。

「すみません。あの…どちら様ですか?」

「えっ……?」

見た事のない美幸の困惑した顔と部屋中の重い空気が全てを物語っていた。俺は電話で大悟から聞いた言葉を思い出した。

「―頭を強く打ったらしくて―」

まじか、と思った。そんな残酷な事って本当にあるんだ。俺は戸惑いながら大悟を見た。大悟は俺と目が合うとゆっくりと首を横に振った。

「おい、大悟…どういう事だよこれ…!?」

俺の声は震えていた。すると大悟の代わりに親父さんが呟くように言った。

「俺ら家族の事は分かっとるんだがな。それでも所々記憶が抜け落ちとる」

「そんな事…って……!」

「医者が言うには時々あるらしい。一時的なものもあれば…一生戻る事がないケースもあるみたいだ。もうそれは経過を見なけりゃ分からんそうだ」

「うう、うう…っ!ひぐっ…ひっ」

俺は感情を制御できなくなった。嗚咽と涙が止まらない。立っている事も出来なくなった。

「何でっ…!何で…よりによって美幸ちゃんなんだよぉ…!!」

俺はぐちゃぐちゃになった顔で美幸を見上げた。すると美幸は申し訳なさそうに少し首を傾げながら言った。

「あなたは…あなたは私の彼氏ですか?」

「本当に…本当に何も覚えてないの…?」

「うん、そうみたいです……せっかく来てもらったのに失礼ですよね、本当にごめんなさい」

「俺は…俺はっ…!」

「悠太!もう無理すんな…」

心配そうにこちらを見る大悟を見て再び涙が溢れ出したが、俺は我慢しながら言った。

「俺は…俺は美幸ちゃんの旦那になる男だっ!!だからっ…だから!こんなぐらいでへこたれはしないっ」

それを聞いた美幸は驚いた顔をして、ニコッと笑い何度も頷いた。だが、一番最初に口を開いたのは大悟の母ちゃんだった。

「まぁっ!?」

「え?」

すると大悟がゆっくりと俺に近付き耳元で言った。それはもはや囁きでもなければ全員に聞こえる声量だった。

「ドッキリ…」

「何が?」

俺はまだ状況が飲み込めなかった。大悟は俺の肩をポンッと叩くと、丸椅子に腰掛けた。

「やっぱなー!そうなる気がしてた」

「だから何が?」

そう言いながら美幸を見ると、美幸はまだ微笑んでいた。そして俺に言った。

「悠ちゃんありがとっ。結婚しよっか」

「へっ?」

ここで俺はようやく状況を理解した。

「おいおいおい、いくらなんでもこれはタチが悪いぞ…」

「そうよね、ほんとごめんねぇ。私はやめなって言ったんだけど…」大悟の母ちゃんが申し訳なさそうに何度も俺に頭を下げた。

「おいっ!!」

俺は大悟を睨んだ。

「いや俺じゃねぇし。言い出しっぺはこっち」そう言って大悟は親父さんを指差した。

「ちょっと…!まじで勘弁してくださいよ!」

俺が詰め寄ると大悟の親父はぶっきらぼうに言った。

「まぁ最低限の覚悟は見れたわ」

「いや!それただの嫌がらせですから!!子供か!」

俺は頭をかきむしりながら気持ちを落ち着かせた。そして美幸に聞いた。

「いつそんな話をしたんだよ?」

「んー?一時間ぐらい前かな?大悟が来る少し前に話しちゃった」

「そういうの伝える時はまず俺に言うだろ普通!」

「その辺は成り行きで…まぁ良かったじゃん!手間が省けてさ」

「手間とかそういう問題じゃねぇよ……」

次ページが反応しなかったりボタン自体が無い場合は、ご使用されているブラウザのキャッシュを削除してください。
※特典やお気に入りが消えるので、削除前にマイページURLのブックマークをお願いします。

作品のイメージ画像設定

作品本文のTOPに表示されます。
設定する作者の方が増えてきたら新着リストのサムネイル画像としても利用予定です。
画像をアップロード

話の感想(7件)

※コメントの上限:1万件

解析グラフ

アクセスの解析データを見る
※表示に時間がかかる場合があります
※表示のエラーを修正しました。
(2020年05月28日)

体験談やHな話を募集中!

エチケンでは体験談やエッチな話を随時募集しています! 1日に10万人が訪れる当サイトにあなたの話を掲載してみませんか? 皆様のエッチな投稿を心よりお待ちしております!


※レイプや痴漢など、犯罪に関わる内容は創作のみ可。