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タイトル(約 23 分で読了)

「先輩…寂しかったです…」(1/3ページ目)

投稿:2021-07-31 07:20:17

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ま~こ~と~◆k3NiCAA(静岡県/30代)
前回の話

前回までの評価・コメントを頂けた方々、この場を借りてお礼申し上げます。

また前回からの投稿がかなり遅くなってしまい申し訳ありません。

ここまでの話を整理する為に、改めて人物紹介。

「私(マコト)」…当時高校2年生。見た目普通。体格も普通(170cmくらい)。

「エリ」…私の彼女。同じ高校の1年生で同じ部活。顔は今で例えると日○坂46の金村美○に似ている。身長155cmくらいで色白・スレンダー・貧乳。リナに”エリツィン”というアダ名を付けられる。

「リナ」…私の中学からの同級生で同じ部活。彼氏持ち。世話焼き。

「トシさん」…トシユキさん。私の叔父で”人生の師”。真面目なことから下ネタまで色々なことを教えてくれる。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

二人の将来の為にこれからはエリと一緒に頑張ろうと話し合った日の夜、トシさんに電話をすると食事に誘われたのでお供する事にしました。

「…というワケで、エリもトシさんの下で勉強出来ないかな?」

「…エリちゃんと話って出来るか?お前も含めてどこかで飯でも食いながら。」

「エリにも教えてくれるの?」

「別に教えるのは構わないけど、俺は”お前の話の中のエリちゃん”だけしか知らないから実際に本人と話してみたい。」

「…分かった。」

「エリちゃんも良いけど、お前の進路は決まったのか?」

「それなんだけど…”沢山金を稼げる所で働きたい”っていうのは決まってるんだけど、具体的には決まらなくて…」

「そんなに金が欲しいのか?」

「この前トシさんが人生で必要になりそうな金の話をしてくれて、必要な分は大体分かったけど…エリと結婚した後も何が起こるか分からないし、出来るだけ沢山稼ぎたいんだ。」

「それに今までずっと俺を想い続けてくれたエリをガッカリさせたくないし、だからエリがみんなに自慢出来るくらいの凄い男にならないと…」

「…そうか。じゃあまた連絡する。」

後日トシさんから連絡があり、私はエリといつもの喫茶店に行きました。

「あの…よろしくお願いします…」

「あ~緊張しなくて良いよ。」

「…はい…」

「う~ん…じゃあまずはコイツとの馴れ初めでも聞かせて貰おうかな。」

「え?」

「いや、この前初めて会った時に”何でエリちゃんがコイツを好きになったのかな~?”って思ったのと、緊張をほぐすにも良い話題かなって思ったからさ。」

「…分かりました。」

エリは小学校時代まで遡り、私との出会いと付き合うようになった経緯を説明しました。※3話目参照

「…それで二人の為の事なら先輩だけ頑張らせるなんておかしいと思ったんです。だからトシさんが良ければ私も勉強させて欲しいです。」

「う~ん…そうか…」

「…ダメですか?」

「いや、良いよ。そのつもりで呼んでるワケだし。」

「本当ですか!?ありがとうございます!」

「じゃあ早速だけど君の事をもっと教えてくれる?君の事がよく分からないと”君に教えなきゃいけない事”も分からないから。」

そう言うとトシさんはバッグから紙とペンを出して話を始め、

・エリの家庭環境

・学校での成績

・エリは将来動物関係の仕事をしたい事

等を聞いていき、それを書いていました。

「”動物関係”って飼育員とか研究員みたいなヤツ?」

「そうです。動物が好きだから、将来は動物と関われる仕事がしたいです。」

「う~ん…そうか…。」

「…変ですか?」

「いや、全然変じゃないよ。ただ”中々割りに合わなさそうな仕事だな”って思って。」

「割りに合わないんですか?」

「昔そういう関係の人と話した事があるけど、”キツイ上に給料も大して貰えない”って聞いた事があるからさ。」

「…大丈夫です。」

「私のお父さんが死んじゃって今の家に引っ越してきてから、お祖父ちゃんが落ち込んでいる私を元気付けようとしてくれたんです。」

「でもどうすれば良いのか分からなかったみたいで、それでも私を元気付けたいからお祖父ちゃんも好きな動物園に連れて行ってくれたんです。」

「それからしばらくは毎週のように連れて行ってくれて色々動物の説明をしてくれたんです。」

「そうして貰ってる内に、私も動物が大好きになっちゃって…」

「だからキツくてあまりお金も貰えないかもしれないですけど、動物と関われる仕事がしたいんです。」

私はこの話をこの時に初めて聞きました。

私が知らないエリの一面を見られて嬉しかった半面、その話を初めてした相手が自分ではなかった事でほんの少しだけトシさんに嫉妬してしまいました。

「…そうか。ごめんね。君の熱意に水を差すような事言っちゃって。」

「いえ、全然大丈夫です。」

「進路が決まってるならコイツみたいにわざわざ”社会見学”をさせる必要はないから、エリちゃんには”社会で必要な事”を少しずつ教えていこう。」

そしてトシさんは以前私に話してくれた”人生で必要なお金の話”(※7話参照)をエリにもしていました。

話をしている内にトシさんは次の予定の時間になったので、トシさんは私達を家に送ってくれる事になり、先にエリを家に送りました。

「今日はありがとうございました。」

「何か聞きたい事があったらコイツを通してでも良いし直接でも良いから連絡して。教えられる事なら教えるから。」

「はい。またお願いします。」

トシさんは次に私を家に送る為に車を走らせました。

「…エリちゃんはしっかりした子だな。」

「うん。」

「ああいう子は俺が教えなくても自分だけででも立派になると思うけどな。」

「…トシさんから見てもやっぱり凄いんだ。」

「…あとエリちゃんのお陰で前から不思議に思ってた事と、お前に教えなきゃいかん事が何となく分かった。」

「え?」

「この前お前に進路の話を聞いた時もそうだし、それよりも前から何か”焦り”みたいなものを感じてたんだけど、”何をそんなに焦っているのか?”ってのが分からなかった。」

「でも今日エリちゃんの話を聞いて”あぁなるほどな”って思った。」

「エリちゃんから色々話を聞いて、何となくなんだけど”この子マジだわ”って思った。」

「好きになったキッカケがドッジボールってのは置いといて、それよりも”高校に入るまでずっと想い続けてた”って事が大したものだと素直に思った。」

「その上今度は”彼氏との将来の為”って目的で、彼氏の身内とはいえ”よく知らない大人に物を教えて貰いに行く”なんてかなりの行動力だ。」

「少ししか一緒にいなかった俺でも思ったんだから、お前はエリちゃんの凄いところはもっと見てきたんだろう?」

「…うん。」

「それでお前が焦ってた理由が分かった。」

「エリちゃんはずっと前から長い間、それと今現在もお前を想っているのに、それに対してお前は大した努力もせずに”エリちゃんという彼女が出来ちゃった事”に、どこか後ろめたい気持ちがあるんじゃないのか?」

「(!!)」

「お前は自分が好きになった女をモノにしたいならそれ相応の”努力”と”実力”が必要だと思ってて、その両方とも持っていない自分に納得出来てないんだろ?」

「そうしたら今度は自分が好きになった女が”先輩との将来の為に自分も一緒に頑張りたい”とまで言ってきてるんだからな。」

「そりゃ”早く立派な大人にならないと…”って焦りもするよな?」

図星でした。

今までのエリに比べれば私がエリのためにやった事などほとんどありません。

だからこそ私はエリのために何かを成し遂げたいと思っていました。

「…そうだよ。だから俺はトシさんに色々教えて貰いたいんだよ。」

「その志は立派だけど…お前、それって苦しいだけじゃねぇの?」

「え?」

「お前からは”こうするべき”とか”こうならなきゃいけない”っていうのは感じるけど”こうなりたい”っていうのが全然感じられんわ。」

「俺はエリとずっと一緒にいられるようになりたいんだけど…」

「そのために”凄い男”になりたいのか?」

「うん。」

「…お前は初めて俺に相談してきた時に”優れた能力も金も見た目もない自分ではどうしたら良いか分からない”って言ってたのを覚えてるか?」

「覚えてるよ。」

「じゃあお前が言う”凄い男”ってのはそういう物を持っているヤツの事を言うのか?」

「そうだと思うんだけど…」

「ある意味では正解だけど、ある意味では不正解だな。」

「え?」

「確かに”見た目”も”勉強の成績”も”運動能力”も”金”も無いよりはあった方が良いし、それらを持っている人が”勝ち組”みたいに評価されるっていうのも社会に出てからでも起こり得るのが現実だ。」

「そういう意味ではお前が言った”それらを持つ男が凄い男”っていう考え方は正しい。」

「だけどお前が間違えてるのは”それがなければ絶対にダメだと思ってる事”だ。」

「(!?)」

「例えば俺の勉強の成績はお前の高校の中じゃトップグループにカスりもしないだろうし、スポーツも、背も、顔も、家に金がある男と比べても同じように劣ってるだろうけど、俺は何とも思わない。」

「そんなものがなくても俺の人生には全く支障がないからだ。」

「…そうなの?」

「別に俺だけの意見じゃない。」

「”社会の本質”を理解して、上っ面だけを見ないでいれば誰でも分かる事だぞ。」

「言い換えればそれが分からないお前は”社会の本質”を理解出来ずに上っ面だけしか見えていないって事だ。」

「そういう上っ面しか見えずに焦って物事を進めようとしたヤツは、大抵小手先のスキルを持ってるだけの”つまらんザコ”に成り下がるだけだ。」

私は淡々と語るトシさんの言葉の端々から出る”自信の大きさ”に対して自分の”器の小ささ”を感じていました。

「…俺どうすればいいかな?」

「あ?」

「俺がダメなのは分かってるんだけど、どうすれば良いのか分からない…」

「そんなのはお前が決めろ。」

「え?」

「今のお前の焦りの原因がお前の”後ろめたい気持ち”から来るものなら、それをどうにか出来るのはお前だけだろうが。」

「それは分かるけど…」

「あと俺はお前が”ダメなヤツ”だなんて全然思ってないぞ。」

「え?」

「お前はただ焦ってるだけだろ?何がダメなんだ?」

「…トシさんが色々言ってくれてるしエリも”自分も頑張る”って言ってくれてるのに、俺だけ何か的外れみたいな事を考えてるし。」

「そんなのは”単なる結果”だ。」

「お前は自分の現状に悲観しても、それでも諦められなくて何とかしたいから今もこうやって俺に物を教えて貰いにきてるんだろ?」

「…そうだよ。」

「じゃあ全然ダメじゃない。」

「”ダメなヤツ”ってのは”何も行動をしないヤツ”の事だ。」

「お前は”ダメ”じゃなくて”努力の仕方”が分かってないだけだ。」

「まずお前に必要なのは”人間としての成長”とその為の”努力の仕方”だな。」

「これからは少しずつでも人間として成長して、お前自身が納得出来るように実力を付けるしかないな。」

「その為の”努力の仕方”は教えてやるよ。」

「…トシさん、ありがとう。」

「…ん。」

私に目線を向けず淡々と話す運転席のトシさんから”出来る人”のオーラみたいなものと”絶対的な自信”のようなものを感じた私は、上手く言葉に出来ませんがこの時の私の気持ちを簡潔に表すなら

「シビれた」

の一言でした。

そして

「(トシさんはなんでいつもあんなに自信満々でいられるんだろう?)」

「(俺もトシさんみたいになれれば自信を持って生きられるのかな?)」

「(それなら俺もトシさんみたいになりたい。)」

と思い、この時からトシさんを「人生の師」と思うようになり、同時に「自分がなりたい目標の人」になりました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

数日後、ようやく自分の進路が決まった私は今後の事をエリに伝えました。

「…それで”俺もトシさんみたいになりたいから、卒業したらトシさんに正式に弟子入りしてトシさんの仕事を一緒にやらせて貰いたい”ってトシさんに志願したんだ。」

「じゃあ卒業したらトシさんの所で働くんですか?」

「いや、トシさんに断られた。」

「ええ!?」

「トシさんから”色々教えるのは構わないけど、仕事となれば話は別。お前の実力じゃ俺のお客様を任せられないから要らない”って言われた。」

「でも、”逆に欲しいと思わせるくらいになったなら俺からスカウトする。”とも言ってくれたから、まずはトシさんと同じかそれ以上の大学に入って勉強しながらトシさんの仕事の手伝いをさせて貰おうと思う。」

「それでトシさんに認めて貰ってから一緒に仕事したいと思う。」

「進路が決まって良かったですね。」

「でもトシさんが卒業した大学って俺の偏差値じゃけっこう厳しいからちゃんと勉強しないと…」

「先輩ならきっと大丈夫です。私も応援します。」

この日から私の受験勉強が始まりました。

私は今までの勉強の仕方では志望大学は難しいと感じトシさんに相談すると、トシさんがエリも交えて効率的な勉強の仕方や受験対策を教えてくれたのでそれらを実践しながら勉強しました。

そしてエリと会う頻度は減ったものの、自宅で一緒に勉強しながら過ごすようになりました。

しかしながらやはり部屋でエリと二人きりになるとどうしてもイチャつきたくなり、中々勉強に集中出来なくて思うように成績が上がりませんでした。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

季節は流れ、高校3年生の6月になりました。

私の高校は6月に文化祭があります。

1年と2年の時は文化祭など正直どうでも良いと思い、適当にクラスメートに任せて自分は遊んだり昼寝していたりとかなり非協力的でした。

今年も適当に済ませようかと思いましたが、トシさんに自分のことを相談した時に

「学校行事は真面目に取り組むこと」

というアドバイスを思い出し、

「(今更真面目にやってもな…)」

とも思いましたが

「(きっと今の俺には必要な事だからトシさんは俺にアドバイスをしてくれたんだ…)」

と思い直し、私は文化祭のクラス内での実行委員長に立候補しました。

準備期間中は出し物の選定や予算編成など大変な事は色々ありましたが、それまでコミュニケーションを全く取っていなかった人とも関わる事も多くなり、

自分が知らなかったクラスメートの一面も見られたりして最初に思っていたよりも充実した時間でした。

そして当日、私のクラスはバルーンアート展をやる事になり、私もプレゼント配布用の小物要員で小さなバルーンアートを沢山作っていました。

犬やら花やらを黙々と作っていたのですが、ある女子が

「ねぇ、これ可愛くない?」

とバルーンアートの花の茎の部分に空気を入れずに、ペラペラの状態ままブレスレットのように手首に巻き付けました。

それを見ていた周りの女子が

「すご~い!超可愛い~!」

と食い付き、花のブレスレットを付けた女子達が教室を出ると他の女子も食い付き、

風船の花のブレスレットの噂は一気に学校中に広まりいきなり忙しくなりました。

「あの花のヤツお願い!!」

と沢山の女子が教室にやって来て、私も花を作っては女子の手首に巻き付けていきました。

そんな中、

「コレって指輪も出来るんじゃない?」

と言い出したある女子が手首に巻いてある風船の花を指に巻き始めました。

コレに対しても周りの女子は

「すご~い!超可愛い~!」

と食い付き、風船の花の指輪の噂も学校中に広まりました。

しかしながらブレスレットの人気が下火になったワケでもなく、

「花の指輪とブレスレットちょうだい!」

とブレスレットと指輪で注文が倍になってしまいました。

注文を受けた時は巻いて欲しい方の腕を出して貰いこちらで花を巻き付けるのですが、ある女子が

「花が出来たら巻かなくて良いからそのまま頂戴!」

と言ってきたので花だけ渡しました。

そしてその少し後にその女子が彼氏と一緒に歩いており、その女子の左手薬指には先程の花が巻いてありました。

周りをよく見ると彼氏持ちの女子の中には左手薬指に風船の花を巻いている女子もいて、同じクラスのリナも

「ねぇねぇ、さっき休憩中にタケルに付けて貰ったんだよ♪」

と私に左手薬指の風船の花を見せてきました。

そんな中、エリが友達の女子と一緒に私の教室にやってきました。

「いらっしゃいませ。」

「繁盛してますね(笑)」

「繁盛し過ぎ(笑)」

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(2020年05月28日)

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