体験談(約 39 分で読了)
【殿堂入り】山道に迷って辿り着いた尼寺でミミズ千匹を知り、そのことがきっかけで数の子天井を知って人生が変わった(1/7ページ目)
投稿:2018-10-02 17:20:33
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これは、ボクたちが山道に迷って辿り着いた尼寺で、尼僧たちのご奉仕を受けて人生が変わった話だ。
「くそ、どっちだよ!」
かなりイラついたボクは、思わず声を荒げてしまった。
一緒にいるサキとアヤにではなく、自分に。
ボクたちは、山の中で完全に道に迷っていた。
原因はボクだ。
「こっちが近道だよ」
つい格好をつけて、知ったかぶりをしてしまった。
その所為で、本来の道から逸れてしまった。
山道を甘く見ていた。
自分が情けなくて、無性に腹が立った。
それを察してか、アヤが慰めるように言ってくれた。
「ソウタくんの所為じゃないよ」
サキもボクを気遣って言ってくれる。
「大丈夫だよ、きっと、もうすぐだよ」
女の子二人に励まされながら、ボクたちは歩き続けた。
サキとアヤとボク。
三人での楽しいトレッキングになるはずだった。
山道を歩き、ちょっと汗をかいて、日が沈む前には麓に戻っているはずだった。
その予定が大幅に狂っていた。
日は沈み、辺りはもう真っ暗だ。
歩き続けてよいものか、それすら疑問だった。
夜道を歩き疲れ、野宿を覚悟しかけた。
でも、どんな危険が潜んでいるかわからない。
その時、どこか遠くで人の声がした気がした。
「ねぇ、何か聞こえた?」
「たぶん…」
「こっちだ!」
ボクたちは声を頼りに山道を急いだ。
やっぱり聞こえる。
耳を澄ます。
やはり間違いない。
だが、どこだ?
「あそこに明かりが見えるわ」
サキが指差す方向を目を凝らしてみる。
薄ぼんやりと明かりが見えた。
明かりを目指し、さらに先へ進む。
すると、それは松明の灯りだった。
焦りから躓いて転んだりした。
それでも何とか辿り着く。
見ると、山の中なのに建造物が立っていた。
それは、どうやらお寺のようだった。
奥之院地出処ノ庵(おくのいん、ちいずるところのあん)。
暗がりの中で、朽ちかけた門札にそう書いてあるのが見えた。
間違いなく、人がいる。
しかし、門は固く閉ざされている。
どうしたものか。
聞こえていた人の声は、静かな山中に響く読経だった。
時々、おりんを鳴らすような音も聞こえる。
「すみませーん!」
切羽詰まった声をアヤが上げる。
これしかない。
「すみませーん!」
ボクとサキも一緒になって声を上げ、人を呼んだ。
しばらく呼び続けては、耳を澄ます。
そして、再び声を出す。
こうして何度か繰り返した。
すると、いつしか読経の声が聞こえなくなっていた。
息を呑んで待つ。
次に、門の向こうで閂を外す音が聞こえた。
やった!
ようやく開いた門の脇の小さな扉。
出てきたのは、作務衣姿に手燭を持った女性だった。
怪訝そうな面持ちで、お寺の人が尋ねる。
「どちらさまですか?」
「すみません、道に迷ってしまって…」
早口でボクが事情を説明する。
すると、お寺の人は言った。
「生憎、こちらは比丘尼寺で、男子禁制なんです」
ガーン!
女性が入れない山があることは、聞いたことがある。
そして、男性が入れないお寺もある。
男女平等が声高に叫ばれる中、時代錯誤だ。
そうは言っても、こちらも切羽詰っている。
だから、食い下がった。
「この子たちだけでも入れてもらえませんか?」
ボクがそう言うと、サキが言った。
「ソウタも一緒じゃなきゃ、嫌だよ…」
サキはボクの彼女だ。
大学に入って暫くして、ボクたちは付き合い始めた。
そして、アヤはサキの親友だ。
ボクたちに、付き合うきっかけを与えてくれたのがアヤだった。
「いや、このままじゃ、危ないよ」
その遣り取りを聞いていたお寺の人も困った表情だった。
「ちょっと待ってていただけますか」
ボクたちにそう告げると、お寺の人は一旦扉を閉めた。
遠くで狼の遠吠えがした気がした。
いや、そんなはずはない。
ここは日本だ。
「ここで待っていていいのかな」
アヤが不安そうに言う。
ボクたちの不安がマックスに達しようとしたとき、再び扉が開いた。
お寺の人が出てきて言う。
「ご住職さまにご相談申し上げました処、”殿方が離れでもよろしければ、お泊りください”とのことです」
ボクたちに異論があるはずもなかった。
野宿をすれば、どんな危険な動物に遭遇するかもわからない。
本当に、狼がいるかもしれない。
狼はいなくても、熊?
猪?
蚊に刺されて、マラリアにかかるかもしれない。
想像が想像を呼ぶ。
とにかく、テンパっていた。
雨風が凌げるだけでも文句は言えない。
小さな扉をくぐって境内に入る。
するともう一人、お寺の人が出迎えてくれていた。
その人もまた、作務衣姿の女性だった。
「男の方は、こちらですので」
そう言うと、自分についてくるようボクは促された。
サキとアヤの方を見てみる。
彼女たちはホッとした表情を見せていた。
不安はなさそうだ。
比丘尼寺で男子禁制というからには、女性ばかりのはずだ。
「じゃ、明日」
そう言って二人とはそこで別れ、ボクはお寺の人に従った。
案内されたのは、お寺の本堂から距離を少しおいた離れだった。
古い木造の建物だ。
でも、贅沢は言えない。
本来は、男子禁制なのだ。
寧ろ手を合わせるべきだ。
お寺の人に続いて建物に足を踏み入れる。
すると予想に反し、中は掃除が行き届いていて、快適な畳の間だった。
床の間まである。
「今夜は私が身の回りのお世話をさせていただきます」
お寺の人が灯台に明かりを灯しながら言った。
「えっ?」
「連華と申します」
お寺の人は、そう言うとボクに頭を下げた。
ちょっと面食らってしまった。
旅館じゃないよな。
そう思いながら、改めてお寺の人の様子を窺った。
年は三十くらいか。
綺麗な人だ。
おっと、あまりジロジロ見ていては失礼だ。
だから、あまり視線を向けないようにした。
だが、ついつい見てしまう。
お寺の人らしく、細身だ。
でも、髪は剃っていなくて、坊主頭ではない。
長めの黒髪を綺麗に後ろで束ねていた。
「レンカさん?」
「はい」
「レンカさんは、その…」
「はい」
「尼さん、っていうか…」
「はい、まだ、行者の身ではございますが…」
そう言いながら押入れから布団を出して、寝床の用意を始めてくれた。
手際がいい。
布団にシーツを広げながら、彼女が尋ねる。
「お腹は空いておられませんか?」
そう言えば、道に迷ってから何も食べていない。
お菓子も非常用のチョコレートも食べつくしていた。
でも、厚かましいことは言えない。
「いえ、お構いなく…」
見栄を張ってそういった。
その瞬間、ボクのお腹は正直な声を上げた。
ぐぅぅ~。
それを耳にしたレンカさんは、クスリと笑うと言った。
「山寺ですので何もありませんが、お食事をお持ちしますね」
「…スミマセン…」
バツが悪かったが、空腹には勝てない。
レンカさんは直ぐにお膳を用意してくれた。
一汁三菜。
精進料理で、肉気は無い。
腹をすかしたボクは、直ぐにお膳に箸をつけた。
味はいい。
量は多くはなかったが、お腹を満たすには十分だった。
「あの、彼女たちは?」
「お嬢さま方も召し上がっておられますわ」
良かった。
サキたちも飢えずに済んでいるようだ。
「汗をお流しになられますよね?」
レンカさんに問われ、今度は強がらずに頷いた。
レンカさんが風呂場へと案内してくれた。
建物の雰囲気から、五右衛門風呂か何かか?
そう思って恐る恐る風呂場を覗く。
すると、またしても予想に反し、そこにはお寺に似つかわしくないユニットバスがあった。
見るともうお湯が張ってある。
「お着替えはこちらに置いておきますので」
脱衣所の棚を手のひらを上に向けて指し示すレンカさん。
彼女はそれだけいうと、脱衣所から出て行った。
こんな山奥で、お寺に出くわすなんて奇跡だ。
夜露は身体に毒だ。
そう思いながら、お湯に使っていると、浴室の外から声が聞こえた。
「失礼します」
レンカさんだ。
「はい」
返事をすると、浴室の扉が開き、レンカさんが顔を覗かせた。
「お背中をお流しします」
「えっ?」
戸惑っているうちにレンカさんは浴室に入ってきた。
そして、彼女の前の木製の小さな椅子に座るよう促された。
レンカさんは作務衣を着替え、長襦袢になっていた。
何だか色っぽい。
「どうぞ」
ボクの方から視線を逸らせて、彼女が言った。
戸惑いながらも従ってしまうボク。
彼女に背を向けて腰を下ろした
すると、レンカさんはタオルに石鹸を泡立て始めた。
後ろからボクの腕を取って擦り始める。
もう片方の腕。
そして背中。
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