体験談(約 7 分で読了)
叔母に図られて高◯生との見合いだと勘違いした
投稿:2013-05-21 13:00:00
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俺の仕事は、まずは誰かのところで修行兼ねて働いて、その間に自分の顧客を見つけられれば独立が可能。
物を売る商売ではないし、システムとしては弁護士に似ているかもしれない。
弁護士のようにステータス高くはないけど。
卒業間もない俺にとっては大した人脈などなかったので、最初は母親や叔父夫婦からの紹介に多くを頼っていた。
ある時、叔父夫婦と
「良い仕事をするためにも、早いとこ身を固めろ」
という話になった。
独身でも所帯持ちでも関係ないと言いたいところなのだが、そういう細かいところまでチェックする保守的な考えの人が良い顧客(=ステイタスが高い、理解力があって話が通じる、値切らないなどなど)である傾向は確かにあった。
しかし、俺は大学時代の彼女とうっかり別れたのが災いして、そっちの宛ては全然なかったし、人と出会う仕事なのに、若い女性とは縁がなかった。
仕事で使う飲み屋(スナック、キャバ、クラブ等)のお姉さんとたまに遊んでもらうくらい。
結婚するためにわざわざ女性を探すというのも変な気がした。
相手は今はいなくとも、ちゃんと恋愛をしたかった。
それを言うと、叔母が
「そんな事を言うな、見合いをしろ段取りは任せろ」
と言い出した。
恋愛と見合いは違うだろと思いはしたものの、どうせ社交辞令だから
「よろしくお願いします」
と言っておいた。
この事を叔母が覚えていて、自分の知り合いを俺に紹介する機会にいたずら心を起こして
「先方には年頃のお嬢さんが」
と余計な事を付け加えた。
俺も見合い話の事は覚えていたので
「叔母さん、本気だったか」
と、すっかり見合いだと思い込んで、そういう心積もりで先方を訪問した。
叔母の知り合いだけあって、仕事の話はスムーズに進んだが、肝心の年頃の娘さんが出てくる気配がない。
女といえばお茶を出したり引っ込めたりしている高◯生がいるだけで、まさかこれじゃあるまいなと。
俺が先方と上手く仕事の話をし、その上自分のちょっとしたいたずらが成功したので叔母は上機嫌だった。
俺も笑いはしたが、スーツ新調で10数万遣った上に、いかにも結婚に飢えているように叔母に思われたのが恥ずかしくて、心から笑っていたとは言い難い。
その後は実はそれほど面白い展開はないんだが。
11歳年下の高校1年生といきなり恋愛に陥る男はそんなにいないと思う。
嫁はまだ子供だったし、あくまでお客様の娘さん。
叔母もそういう冗談をかました後は、あまり見合いだとか結婚だとか言わなくなった。
縁があったのは、状況によっては大学が俺と同じになる可能性があった事で、義両親と仕事で会う機会に家庭教師や進路指導員の真似事をしたりした。
嫁には好かれたというよりは懐かれた。
子供なんだが形は女なので結構照れくさかった。
その頃の嫁は超美少女ではなかったが、容姿も仕草も言葉遣いも品の良い、一言で言えば感じの良い娘、だった。
と言っても特別お嬢様でもなくて、そこらへんの女子◯生には違いなかった。
運動もしなくはないが得意とは言えない。
受験勉強をそれほど苦にしない程度に頭は良い。
中学から女子校だったので、いかにも雑誌や噂で仕入れましたという奇怪な男情報を持っている。
友達は多く、素直に
「学校は面白い」
と言える、一見悩みのなさそうなタイプ。
実際は
「良い子 or 真面目な子」
として周囲に扱われていたので、たまに自縄自縛に陥って破目を外せずに疲れている。
その気持ちは分かったので、そういう時は慰めたり励ましたりはしていた。
書いてみると難しい。
嫁が大学生になってすぐ
「大学が期待したほど面白くない」
と言い出した事がある。
両親や友人に言い難いというので、仕事で来ていた俺にこっそり愚痴ってきた。
「授業が面白くない」
とか
「周囲がみんなコンパの事ばっかりで、真面目な話ができない」
とかそういうレベルの話。
真面目だと自我が強くなって、他人に厳しく批判的な目で見たりするのはよくある話だ。
俺は
「大学は面白い」
と思っていたし、自分の出た大学をアホの巣窟みたいに言われても困るので、その時は真剣な顔をして相談に乗った。
俺が言いたかったのは、男というか学生は確かに能天気で遊んでばかりに見えるかも知れないし、何かというと女の服を脱がせたい欲求をちらつかせるかもしれないけれど、裏の裏までアホな人間と一皮向けば侮りがたい人間は見極めないといけないし、浅い印象だけで結論は出せない。
同性もだけど、異性の友人が多く作れるのが大学の良い所だから、もうちょっとしっかり人を見てみろという事。
後はまぁ、リラックスしなさいよと。
ありきたりの説教で嫌われるかと思ったが、そういう雰囲気でもなかった。
その頃は俺にとっても嫁もかなり女に見えていたので、微妙な邪心というか、格好つけて接するようにはなっていた。
あくまで顧客である義両親の許可を得てだが、何度か理由をつけて一緒に食事をした事がある。
俺のアドバイスが効いたのか、もともと大して深刻な悩みでもなかったのか、嫁はサークルにも入り普通の能天気な女子大生のように学生生活を楽しみ始めた。
「○○部に入りました」
と連絡もらった時は、体育会系でもあるし大丈夫だろうかと心配したが、大して強くないクラブで、しかも人間関係が上手く行ったようで、そうなると俺への相談事は減り、たまに会っても挨拶する程度になって、関係は大きく後退した。
俺は最初からそういう関係はないと装っていたので仕方のない事だが、今だから言えるがかなり内心で落胆していた。
向こうから親しげにしてくれる若い女性というのがいかに貴重でありがたい存在か身に染みたし、自分では否定していても、はるか年下の小娘に期待していた事は認めるしかなかった。
失恋なんて世間ではよくある事だし、と平静を装う以外にやる事もなかったが。
幸運だったのは、義両親が(叔母の人間関係の力だとは言え)相変わらず顧客でいてもらえた上に、独身の俺を哀れんでたまに食事に招待してくれた事で、嫁と会う機会は確保できていた事だ。
こちらが接待せずに食事を振舞ってくれる顧客は貴重だし、信用されていると思うと素直に嬉しかった。
30過ぎたら自分の事務所構えようかなという希望も持った。
なんせ当時はここまで不景気になると思わなかったものでw
そういう状態から急転直下するわけで、書きながら何か兆候やきっかけになる事件があったか改めて思い出してみても心当たりがない。
嫁に尋ねた事もあるが
「前から旦那の事が好きだったよ」
と言うだけで、理由はないらしい。
嫁との関係は、たまに義両親と一緒に会って、俺は心の痛みや欲求を隠しつつ和やかに世間話をするといったものだった。
それがいきなり
「クリスマス、一緒に映画に行きませんか?」
と前触れなく唐突に誘われて
「えっ?」
と驚いた。
義両親の前での発言なので、怪しい意図はなく普通にデート?の誘いのようだ。
俺にとっては大事なお客様のお嬢様がそんな事を言い出すのは困るべき事だったのだが、浅ましい事に全く困らず、ただ嬉しいだけだった。
義母に
「よろしくお願いします」
と言われて、叔母を思い出して何かの罠かとも思ったが義父も
「忙しいだろうがよろしく」
と念押しされて、冷静を装いつつ引き受け、自分のアパートに帰ってから歌いながら喜びで踊った。
映画は忘れもしない
「海の上のピアニスト」
内容は結構忘れたww
俺は古い怪獣映画とかをレンタルで見たりはするが、映画には基本無知なので。
それなりに映画館が混んでいた事と、感動で涙ぐむ嫁を盗み見て、そっちに
「おお!」
と感動していた。
接待で店はいくつか知っていたので、小賢しい程度に洒落たレストランを手配しておいた。
普通にまずまず美人の女子大生と、それも長年の付き合いである女性と久々に2人きりで向かい合ったわけだが、そうやって改まってみると、よく考えたら共通の話題がこれと言ってない。
「大学で彼氏できた?」
と真っ向から斬りこむ度胸はないし、クリスマスに俺と一緒にいるくらいだからそんなのはおらんだろうという儚い希望は出来るだけ長く持っていたい。
それで彼女のやっている体育会クラブの話などを聞いて相槌を打っているうちに、向こうから水を向けてきた。
「俺さんは今付き合ってる女性とかはいないんですよね?」
「(なぜ、いないと決めた聞き方をするのだ)まあね」
「あっ、すいませんすいません。普段そんな(女性の)話を聞いた事がないので」
「(察したかww)まあねえ、昔、付き合った事はあるけど」
「お忙しそうですもんね」
忙しいのは理由にならない。
普通に家庭を持ってる同業者の方が遥かに多い。
それに学生時代はともかくとして、社会人になってからは飲み屋のお姉さんと遊びで付き合いましたとは言えない。
が、正直に言うほど馬鹿ではないので、ここは多忙で女性と付き合う暇もない、将来有望であるかのような社会人の顔をしておく事にする。
そういう会話の流れになった以上は、多分
「私にも聞け」
という事なのだろう。
そこでその通り
「○○ちゃんはどうなの?」
と尋ねてみた。
何か、流れが良い方向へ向いている気がしたので。
「私ってダメですか?」
「なにが?」
「いえ、だから彼女として」
「恋人っていう意味?問題ないと思うよ。彼氏とかいないの?」
「いないんです。だって俺さんがずっと一緒にいたじゃないですか」
ずっと一緒にいた覚えは断固としてないが、何を言いたいのかはさすがに分かる。
「いや、それはどうなの。俺は○◯ちゃん好きだよ(冷静に冷静に・・・)でも、学生だし」
「あ、年下過ぎという事で」
「いや、そうじゃなくて、学生の時の恋愛と違って、俺は将来を見越した付き合いをしたいわけで。そういうのはまだ早いと思うから」
「それは人それぞれだと思うんです。すぐに結婚とかは・・・それは卒業まで待ってという事で」
「それも早いww結婚とか、それよりまだちゃんと付き合ってもないからww」
自分が男らしい態度を取れたとは思わないが、なし崩し的にでもこうして付き合う事になった。
最初は義両親に気兼ねしてこそこそデートしていたが、よく考えると娘から筒抜けになるに決まっているし、一応ビジネスと線引きをしておきたいというのが、俺の都合の良い考えだった。
それで年明けて2月初め頃に、数年ぶりに気合の入ったスーツを着て、
「娘さんを下さい」
と言いに行った。
俺の娘が学生のうちにそんな男が来たら、俺は多分泣く。
しかしこちらが緊張していたわりに、先方はあまり驚いた風ではなかった。
嫁があらかじめ根回ししていたのかもしれない。
ちょっと汚いが、ビジネスの関係も無事に続行できそうで内心安堵した。
条件は
「まずきちんと付き合ってみて、2人でやっていけるかどうかしっかり考える事」
「嫁は世間知らずだから、俺がしっかり目を配る事」
「多少は苦労させてもいいが、とにかく助け合って、生活基盤のしっかりした家庭を今から目指す事」
まあ当然の話ですね。
義両親も内心は複雑だったろうが、その場は快く食事に招いてくれて寛大に対応してもらった。
だからその後は全くと言っていいほど障害とか苦労したとかはない。
結局、こっちの母親の意向もあって、昔風の結納をしたのが嫁が大学3年の時で、結婚したのが卒業して3ヵ月後。
問題と言えば、俺は無事に独立して事務所の主になれたし、嫁にも給与を払って事務仕事をやってもらっているのだが、今現在食うには困らないけれどあまり儲かりもしない事。
子供もいて何かと忙しいので、嫁にはもうちょっと独身時代の気楽さを長く味わわせてやるべきだったのではないかと、そこは少しだけ気にはなっている。
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